本文へスキップ

2014.06.27

shinzou's Roses コラム

shinzou's Roses スキャボロ・フェア 2015

イメージ

バラには「病気になりやすい」と言う特性と、「四季咲き性」と言う特性があるので、シーズン通してうどん粉や黒点と戦い続けながらも懸命に花を咲かせ続けようとする植物だ。その結果、秋口ともなると株が疲弊して今にも消え入ってしまうような印象を受ける事がある。
よって、多少葉を落としたとしてもうどん粉や黒点にも負けずシュートを出しまくって大型化しようとするバラは見ていて安心感があるので、どちらかと言えば大型化するバラを好む傾向がボクにはある。その最たるものが一季咲きの「コンスタンス・スプライ」や「ピエール・ド・ロンサール」であり、または四季咲きの中では「ストロベリー・ヒル」、「エブリン」、「レディ・オブ・シャーロット」、「コーヴェデイル」、「ヘリテージ」などが挙げられる。これらには、お世話をしているこちらが元気をもらえるような、そんな力強さが備わっている。
しかし、今回ご紹介させて頂く品種はそれらとは全く逆のバラ。2014年現時点で我が家の最小品種「スキャボロ・フェア」だ。

「スキャボロ・フェアぁあ?何だそれ?」

数多にあるバラの中でも「David Austin Roses」をコレクションしている方ならば、そのカタログから名前くらいは見た事があるかもしれないが、一般的にはかなりマイナー目立たない品種だとボクは思っているし実際、ボク庭でも目立っていない。「ゴージャス」で芳醇な香りを持つバラが市場には沢山あるのに、花弁(はなびら)の数が少なくて香りも無く、樹勢も弱いこの品種を選ばなければならない理由は見当たらないだろう。

ところで「ゴージャス」という言葉が出てきたが、我が家でゴージャス系のバラといえば、「ジュビリー・セレブレーション」、「ピース」、「ルージュ・ピエール・ド・ロンサール」や「クラウン・プリンセス・マルガリータ」などなどが挙げられるが、これらは言わば「ステーキ」「とんかつ」またはうなぎと言ったものに相当する。「ジュビリー・セレブレーション」なんかは「霜降り牛」だとすら思う。
これらは紛れもなく旨い。それは間違いないのだが、今日の献立が「ステーキ」「とんかつ」「うなぎ」だけで構成されていたら、しかもそれが毎日続いたら、誰だって飽きるだろう。いや・・・、それでもいいと言う方は勿論それでいいのだが、それらだけでは無くて例えば「ハマグリのお吸い物」「ズッ!」とすすりたくなるのが日本人と言うものだ。そしてこの「スキャボロ・フェア」は、まさにその「お吸い物」に相当するバラなのだ。

2014年、「スキャボロ・フェア」の一番花。イギリスで作出された品種だが、「日本的な何か」を感じるのはボクだけではないはずだ。

 

イメージピンク色の薄い絹を重ねたような、半八重咲き。「はんなり」としたバラだ。古刹(こさつ)の一角にひっそりと咲いていて絵になるバラは、多くない。

 

イメージ「スキャボロ・フェア」の特徴は、薄い半八重咲き。
香りに関する印象は薄い。香りを楽しむ品種ではないだろう。
最強の四季咲き性を持ち、とにかく休むことを知らずに咲き続ける。
つまり、大きくならない、大きくなれない品種である。

ここで特筆したいのは、一番花・二番花までは「ゴージャス」な花を咲かせる割には、夏になった途端に貧弱でガッカリな花を咲かせるバラが少なくない中、「スキャボロ・フェア」は元々花弁の数が少ない半八重咲きなので、真夏でも美しい花を絶え間なく咲かせ続けられる点にある。これは、強調しておきたい点だ。

地面に近い地点で、うどん粉や黒点と戦い続けながらも懸命に花を咲かせ続けようとする結果、秋口になると株がボロボロになっていることが多い。非常に「けなげ」なバラだ。

 

イメージ 四季咲き性が強過ぎるが故に樹勢は弱く、大きくなれない品種ということはつまり、鉢栽培に最適な一本だと言い換える事が出来る。

 

イメージ奥にどっさりと咲いているのは「ゴージャス系」の代表格「ジュビリー・セレブレーション」だが、それらのバラに紛れてひっそりと咲く「スキャボロ・フェア」の美しさは侮れない。素朴な中に、確実に美しさがある。

もし「こってり系」のバラが増えてしまったら、シンプルであっさりしたバラを一品混ぜてみよう。旨いものとは何も脂がのっているものだけだとは限らない。ダシだけで勝負できる「スキャボロ・フェア」は、極めて日本的で、ボクたち日本人の琴線に触れる大変美しいバラだったんだと気が付かされる事になるだろう。

<<Back           Return to TOP           Next>>

copyright©2002 shinzou all rights reserved.