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2010.10.10

shinzou's Roses コラム

shinzou's Roses ジュビリー・セレブレーション 2010

イメージバラに限った事ではないが、一般的に言って一度植えた植物を別の場所に移植するのはなるべく控えるべきだと言われる。なるほど、確かに移植はバラに大きな負荷を与える事になるだろう。最悪のケースでは、枯れることすらある。よって、バラのことを第一に考えれば、一度植えた場所から移動させない方がよいのは明白である。
でも、ボクの考えは少し違う。第一に考えなければならないのは「バラ」ではないだろう。何が一番大切なのかというと、それはまぎれもなく「人」である。人、つまりそこで生活している人が一番大事であって、園芸品種としてのバラは生活に彩りを与えてくれるツールという位置付けだ。

ボクの考え方ではバラを主とした庭は永遠に未完成であり、常に流動的なものだと考えている。完全に管理された日本庭園や、コンクリで固めたような庭は、然るべき形で維持・管理され、10年経ってもたぶんあまり変ってないだろう。しかし、バラは違う。つるバラは年々巨大化し、誘引のサジ加減ひとつを変えるだけでガラッと表情を変える。植えたバラが予想だにしていなかった成長をすることもあるだろうし、年々コレクションが増えていくし、それは流行の影響も大きく受けるであろう。その結果、10年後には全く違う顔つきの庭になっているはずだ。
さらにボクは行き当たりばったりの性格の持ち主だ。それは庭の形成にも色濃く反映されており、永遠に未完成の庭で、自分の理想が何かよく分からないまま試行錯誤を繰り返し、それを追い求めている状態である。

このような流動的な庭の中で、バラを大切にするあまりその場所に居座るバラを移植できず、やりたいことが出来なくなっているのであれば、それは不健全な状態といえる。移植の必要性が発生したら、ボクは容赦なく移植する。移植の結果、枯れたとしてもその時はその時だ。2万種以上あるバラの中から、そこに最も合ったバラを新たに入手すればよいだけの話である。

そんな中、移植によって逆に元気を取り戻し、素晴らしいパフォーマンスを発揮してくれたバラがあるので紹介したい。それが「ジュビリー・セレブレーション」だ。ジュビリー・セレブレーションはデビッド・オースチン・ロージスがカタログ内で最高品種と謳っており、豊かな香りと完璧な四季咲き性を兼ね備えた品種として迎え入れられた、最も期待していたものである。

しかしながら、初年度の印象は決して良いものではなかった。1番花こそは調子よかったのだが、それ以降は黒点病によって葉を落とし、シュートも発生させずにパラパラと断続的に花を咲かせただけでシーズンが終了してしまった。

 

イメージそうこうしているうちにアプローチの改修が決定し、ジュビリー・セレブレーションを移植することになった。移植先は新しく作った花壇

そして、そこからが圧巻。新しい場所が気に入ったのか、ジュビリー・セレブレーションは恐ろしいほどの実力を発揮してくれたのだ。咲くわ咲くわで、疲れ知らず。何番花まで咲いたのか数え切れないほど繰り返し咲いた。四季咲き性に関してはレディ・エマ・ハミルトンがベストだったのだが、それを凌駕してしまうほどの咲きっぷりだったのだ。

 

イメージ左の画像は、「ジュビリー・セレブレーション」と「レディ・オブ・シャーロット」の共演、2番花だ。たまたま隣同士に植えられることになったものだが、レディ・オブ・シャーロットとの相性は抜群だと思う。今後もこのようなシーンが見れる事を思うと楽しみである。

ちなみに2009年に登場したばかりの新品種・レディ・オブ・シャーロットもかなり返り咲いてくれているが、明らかにジュビリー・セレブレーションの方が繰り返し咲き性はつよい。

このように、素晴らしいパフォーマンスを発揮してくれたジュビリー・セレブレーションであるが、あえて欠点を挙げるとすれば、花首が細いわりにはギッシリ花弁を詰め込んだ重たい花を咲かせるため、うなだれて咲くことが多いことであろう。うなだれて咲くバラをよしとする場合もあるが、それは高所で咲く場合に限られる。腰の高さでうなだれて咲く花は、まるでうなだれた人を見るようだ。理想的には、正面を向いて咲いて欲しい。
ただ、うなだれて咲いた花は一輪挿しで会社で愉しむことができる。仕事の間中、馥郁たる香りを愉しめるので無駄にはなっていない。

ところで、何故ここまで急激に活力に満ち溢れることになったのか、その理由を考える必要があるだろう。理由は2つ。1つめは「日当たり条件が改善された」こと。2つめは「土の栄養状態が良かった」こと。と考える。
日当たり条件については、一季咲きのつるバラなどは日当たり条件が悪くても成長を遂げることができるが、ジュビリーセレブレーションのような四季咲き性が強い品種は少しでも日が当たる方が、やはりそのパフォーマンスをより発揮できるようだ。半日以下の日照からほぼ丸一日当たるようになった事は、やはり大きかった。
土の状態については、新品の庭土に牛フン堆肥、油粕、骨粉を大量にすき込み、それをしばらく熟成させてから植えたのが良かったに違いない。
この2つの相乗効果により、ジュビリー・セレブレーションは本来のポテンシャルを最大限に発揮するようになったと考える。バラをたくさん育てていると、何となく元気のないバラがどうしても出てくるはずだ。その場合、思い切って全く条件の違うところに植えてみると、思わぬパフォーマンスを発揮してくれることがある。逆にそれが原因で枯れてしまったとしても、もともと元気のない苗だから惜しく無い。そういった意味でも、移植と言う手段は悪くないと思うんだ。

 


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