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2010.05.24

shinzou's Roses コラム

shinzou's Roses 鉢で育てやすいバラ

バラは庭を彩る素材として使うだけでなく、コレクション性が非常に高い植物であり、蒐集もバラ栽培における大きな楽しみの一つと言っていいだろう。しかし、その種類は2万品種以上とされ、さらには毎年魅力的な品種が発表されるので、一つ手に入れてもしばらくするとまた他のバラが気になってしまう。土地は有限だが、物欲は尽きることが無い。多くのロザリアンがその狭間で悩むことになるのだが、その状況を劇的に改善してくれるのが鉢栽培と言う選択である。

 

イメージ通路のように細い場所でも、鉢ならば20鉢でも30鉢でも並べる事が出来るので、地植えでは考えられないほどの数のバラをこの手にする事が出来るのだ。ちなみにボクが鉢栽培をしているのは、今のところ20品種である。

 

イメージこのように、悩めるロザリアン達の強力な味方となってくれている鉢であるが、全ての品種が鉢で育てやすいとは限らない。向き不向きがあるのだ。

最も鉢栽培に適している品種群は、やはりハイブリット・ティであろう。パパ・メイアンやピースに代表されるハイブリット・ティの多くは完全直立型の樹形を持ち、完全な四季咲き性を有している。
秋には背丈程度に成長しているが、直立型なので伸びても邪魔にならない。冬季にバッサリと剪定してしまえばまたコンパクトな姿に戻ってくれる。ハイブリット・ティの樹形は完成されているのだ。よって、ボクはハイブリット・ティを全て鉢栽培で行っている。

 

パパ・メイアンの場合
2009年 -冬- 2009年 -秋- 2010年 -冬-

 

対して、イングリッシュローズは1番花、2番花の後に強いシュートが出て横広がりになってしまう事が多い。その結果、春はコンパクトにまとまっていたはずなのに、夏以降には横に広がって往来の邪魔になってしまう事がある。ボクが鉢で育てたイングリッシュローズの中で、横広がりになって使いにくいと感じた品種はいくつかあって、「セプタード・アイル」「パット・オースチン」「クレア・オースチン」などがそれにあたる。「レディ・オブ・シャーロット」も現在鉢で育てているが、既に横広がりな予感。また、鉢で育てていないが「ウィリアム・シェイクスピア2000」や「ジェントル・ハーマイオニー」なども夏以降に横広がりになって場所を取ってしまう傾向があると判断している。その他、「ブラザー・カドフィール」「ティ・クリッパー」「ストロベリー・ヒル」などのつるバラ的に成長するものは、誘引できる適切な構造物がなければ鉢栽培はやめた方がよい。
では、何がどうなっていれば鉢栽培に向いているイングリッシュローズなのか。それはやはり、「樹形は直立型」、「完全な四季咲き性を有する(蕾をつけないシュートは出さない)」、「例え強いシュートが出てもピンチして仕立てるのが好適な品種」であろう。そして、それらの条件を満たしているイングリッシュローズは意外にも少ないのだ。以下の表はボクが実際に育ててみて、鉢に合うと思ったイングリッシュローズを勝手にランキングしたものである。

順位 品種名 解説
1位 アンブリッジ・ローズ
アンブリッジ・ローズの美しい樹形に、多くの説明は不要である。
冬の剪定と芽かきさえ行えば、このように大変美しく仕立て上げる事が出来る。
直立型の樹形で、完全な四季咲き性を有し、夏以降に強いシュートが出て暴れてしまう事は無い。最初から最後までコンパクトでいてくれるのだ。イングリッシュ・ローズの中では、数少ない「完成された樹形」の持ち主だと思う。
鉢にも使えるといったレベルではなく、アンブリッジ・ローズは鉢こそが居場所なんじゃないかと思うほどだ。

コロコロのカップ咲で、デビッド・オースチン・ロージスのホームページで特に香り高い品種として紹介されている。
大変つよいミルラ香。
2位 シャリファ・アスマ
シャリファ・アスマもアンブリッジ・ローズに通ずる美しい樹形を持ち合わせている。

直立型の樹形で、完全な四季咲き性を有しており、蕾をつけない強いシュートが出て暴れるような事はない。最初から最後まで極めてコンパクトでいてくれる。
地植えすると隣のバラに飲み込まれてしまうほどのコンパクトさだから、鉢栽培で自由に移動させながら育てたい品種である。

ピンク色で大変美しいロゼット咲き。デビッド・オースチン・ロージスのホームページで特に香り高い品種として紹介されている。
究極のフルーツ香を持つ。
3位 シスター・エリザベス
シスター・エリザベスは上記アンブリッジ・ローズやシャリファ・アスマとは樹形が異なり、横張り型である。

とても細い枝を沢山出し、その先に無数の蕾をつける。その結果、膨大な数の蕾を小さな体に抱える事になる。四季咲き性が強いため、極めてコンパクトにまとまる品種である。樹形を乱すような強いシュートは発生しない。
地植えすると地面に花が接地して汚れてしまうため、鉢で栽培する事が望ましい。鉢栽培で高さを稼ぐ事によって、花の接地を防ぐ事が出来る。

栽培のコツは、芽かきおよび摘蕾を容赦なく行うのがポイント。枝数と蕾の数を積極的に制限する事によって、安定的に咲かせる事が出来る。また、水切れに弱い印象があるので、毎日の水やりは欠かせない。
4位 ハーロー・カー
ハーロー・カーとシスター・エリザベスは非常によく似ている。

横張りの性質をもつ。とても細い枝を沢山出し、その先に無数の蕾をつける。その結果、膨大な数の蕾を小さな体に抱える事になる。四季咲き性が強いため、極めてコンパクトにまとまる品種である。樹形を乱すような強いシュートは発生しない。トゲが大変多い。
地植えすると地面に花が接地して汚れてしまうため、鉢で栽培する事が望ましい。鉢栽培で高さを稼ぐ事によって、花の接地を防ぐ事が出来る。

栽培のコツは、芽かきおよび摘蕾を容赦なく行うのがポイント。枝数と蕾の数を積極的に制限する事によって、安定的に咲かせる事が出来る。うどん粉に弱い印象があるが、薬害も発生しやすい気難しさがある。

デビッド・オースチン・ロージスのホームページで特に香り高い品種として紹介されている。
つよいオールドローズ香。
5位 チャールズレニーマッキントッシュ
我が家では地植えで育てているが、チャールズレニーマッキントッシュも鉢栽培に向いている。

直立型と横張り型を足して2で割ったような樹形であるが、雰囲気を乱すような強いシュートは発生しない。四季咲き性は良好で、年間通して極めてコンパクトなサイズでいてくれる。

ライラックと言われる独特な花色で人気が高い。
6位 レディ・エマ・ハミルトン
我が家では地植えで育てているが、レディ・エマ・ハミルトンも鉢栽培に向いていると思う。

樹形は直立気味で、究極ともいえる四季咲き性を有しているために、蕾をつけずにひたすら伸びるだけのシュートは発生しない。ベーサルシュートの発生は旺盛で、冬季にコンパクトに切りそろえてしまえば、初夏からは素晴らしい花を量産してくれる。銅色とされる葉の色も魅力的である。

デビッド・オースチン・ロージスのホームページで特に香り高い品種として紹介されている。
素晴らしいフルーツ香。

 

ちなみに、このランキングは狭い通路で20鉢を育てているボクの一方的な都合で決めたものである。一つの鉢植えが専有できるスペースにはどうしても制限があるから、このような結果になっただけだ。
よって、これに載っていない品種は鉢栽培はダメということは全くない。一つの鉢植えが専有できるスペースに制限の無いお宅であれば、つる性だろうが横張りだろうが何だろうが鉢栽培は可能なので、色々試してみてほしい。鉢栽培には大きな可能性が残されていると思うんだ。

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