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2010.03.20

shinzou's Roses コラム

shinzou's Roses ルドゥーテ

職場ではボクがバラにハマりまくっているということが知られているが、とある日の残業時間、営業の女の子が「バラの絵を見るのは好きですか?」なんて事を聞いてきた。曰く、松本市美術館にバラの絵を見に行ったのだが、ひたすらバラの絵が飾ってあったとのこと。
その子は誰が描いた絵かよく知らないで見ていたようだが、直観的に「ひょっとして、もしかしてルドゥーテだった?」と聞いたら、「そう!それ!招待券が余ってるので要ります?」なんて言われたので、即答で「是非お願い!」である。

 

イメージルドゥーテと言えば、ナポレオンの皇妃であり、バラの母と言われるジョゼフィーヌに仕えた宮廷画家、ロザリアンの中では言わずと知れたボタニカル・アート(植物画)の第一人者である。
ナポレオンはフランス革命後にヨーロッパの大半を征服し、「私の辞書に不可能の文字は無い」などと言い放った逸話が残るほどの人物であるが、その妻であるジョゼフィーヌは無類のバラ好きであった。その熱は相当なもので、彼女は世界中・・・、それこそ世界の裏側にあるバラまでもマルメゾン宮殿に蒐集したのである。当時一季咲だったバラに、「コウシンバラ」を導入し、バラに四季咲き性がやどるという究極の革命を起きたのも、彼女がいたからこそである。まさにバラの母。
そんなジョゼフィーヌに仕えた宮廷画家ルドゥーテは輪郭を持たない点刻技法でバラを緻密に描写。バラ図譜をジョゼフィーヌに捧げるため、彼女の死後も私財を投げ打って制作に没頭。8年の歳月を費やして30冊の図譜として完成させた。200年経った今では当時のバラを知るうえで大変貴重な資料となっているだけでなく、抜きんでた芸術性をも持ち合わせている。もはやロザリアン涎垂の、究極ともいえるボタニカル・アートと言っても過言ではない。

 

ルドゥーテの画は各種バラ関連雑誌で見かけることは多いが、もちろん、その実物を見る機会などあるはずもなかった。ボクにとってルドゥーテの画など雲の上のような存在で、ボクのような一般ピーポーがお目にかかれるものではないと・・・。しかし、なぜか松本市に170点ものルドゥーテの画が集結していたのだ。何という幸運。この機を逃すと、今後一生見ることはできないかもしれない。早速招待券を頂いたその週の土曜日に、一家総出でクルマを松本まで走らせた。

松本市美術館に到着し、早速展示室に向かうと膨大なルドゥーテの画が展示されているではないか!その緻密な描写たるや噂以上である。葉や茎、花弁などはもちろんの事、その中に潜むしべも極めて緻密・繊細に描かれている。目を凝らして見れば見る程、なんという細かさ!あまりの緻密さに目を奪われていたが、しばらくして「木を見て森を見ず。」という事に気が付き、2歩下がって観賞してみると、完成された構図に驚かされてしまう。超微細な点が集合し、花、葉、棘やしべなどのパーツを描き出し、それらが集まって完成された構図となり、ボタニカルアートの到達点として結実しているのだ。
究極的ともいえるのは、「モス系」のバラである。モス系のバラの特徴は何と言っても、全身を覆う苔のようなトゲであるが、それらすべてが描き尽くされている。筆舌に尽くしがたい細かさ!

ちなみに、現在では絶えてしまったものが多いというが、ボクが所有する「ロサ・ガリカ・ウェルシコロール」・・・、つまりロサ・ムンディの画があって嬉しくなってしまった。素人のボクが画の説明を見ずして一発でロサ・ムンディと分かった事から、そのバラが持つ特徴を忠実に再現している事がよくわかる。
当時、写真は無かったから、このような画は記録を残すうえで非常に重要な意味を持っていた。200年の時を超え、ここまで正確に記録を残せていることに驚かされる。今ある写真やデジタルデータが200年ももつか?と言われればかなり自信がない。そういった意味でも、これはすごい事だと思う。

ボクのベタな語彙力ではその凄さを伝える事が出来ないのだが、もしルドゥーテの展示があったら是非出向いてみてほしい。きっとその芸術性に驚かされるはずだ。

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