病害虫の防除 本文へジャンプ
バラゾウムシ(クロケシツブチョッキリ)

●症状
バラにはいくつかの病害虫がつくが、春先から初夏にかけて警戒すべき害虫の一つである。ケシツブの名前の通り大変小さい虫だが、馬鹿にしていると思いのほか大きな被害を被ることになるので注意が必要だ。バラゾウムシのあまりの小ささにその存在に気がつかず、次々にしおれる蕾や新梢を目の前に頭を悩ます方も多い。
美しい新緑や蕾の発生に心が躍る4月下旬ごろから発生がみられ、最も大切な一番花の時期に最盛期を迎え、猛威をふるうことになる。放置すると、1番花・2番花を激減させてしまうほどの攻撃力を持つ。

初期症状は葉の表面に小さな丸い傷がつくことから始まる。知らないとバラゾウムシの仕業とは分からない。左の写真を見ると、小さな丸い穴や傷が付いている箇所が確認できるが、これがバラゾウムシの食事痕である。これを発見したら徹底的に周囲を捜すこと。かなりの確率でバラゾウムシを見つけることが出来るだろう。

次段階としては新しい葉っぱがパリパリに乾燥しているのをそこかしこに発見できるようになるが、これもバラゾウムシの仕業である。

待ちに待った蕾が上がってくる時期になると、バラゾウムシにとってまさにバラ色のシーズンとなるのだろう。やつらの次の標的は産声を上げたばかりのバラの蕾となる。
ドラキュラのごとく首元に食らいつき、そのエキスを吸い取ってしまう。被害に遭った蕾はなすすべもなく萎れてしまうだろう。

これを放置すると、被害が拡大する。標的にされた蕾は次々に萎れてしまう。
葉っぱの一枚二枚なら大したことはないが、花数の少ないハイブリット・ティの蕾や、大切に育てているベーサルシュートやサイドシュートの先端を加害されると、バラゾウムシに対して明確な殺意が芽生えることになるだろう。

これも明らかにバラゾウムシの食害痕だ。

美しく咲くはずだったその蕾が無残な姿となってしまった。

さらには加害部位に産卵管を挿入して卵を産みつける。孵化した幼虫は乾燥した加害部位を食べて成長し、やがて地面に落下し蛹となる。よって、加害部位を放置したり、周囲に投げ捨てたりしないこと。
画像をクリックすると、大画像が表示されるようになっている。大画像を見ていただくと産卵管を挿入されたかのような痕が確認できる。

これがバラを悠然と歩くバラゾウムシの姿だ。

バラゾウムシの別名はクロケシツブチョッキリだが、ケシツブの名前の通りケシツブのように小さい。これは比較用に350ml缶の上に置いた図となる。かなりの小ささであることが分かる。

拡大図。
ゾウムシだけあって鼻が長い。

人生において至福の時を過ごしているであろうオスのバラゾウムシ。そんな最中でもメスは食事中だったりする。見つけてしまったからには放置はできない。可哀そうだがこいつらに対しては、「しかるべき処置」を施すことになった。

●防除に対する考え方
最も楽で確実な方法は、補殺と考えている。1匹たりとも逃さないという確固たる意志で徹底的に補殺することで、劇的に被害状況の改善が見られるようになる。しかも、この方法は株を注意深く観察することになるが、それはうどん粉病と黒点病の早期発見にもつながり、一石二鳥である。
加害部位や新梢の先端付近を探せば比較的容易に見つけることが出来るが、コイツは想像以上にすばやく、人の気配を察すると死んだふりをして地面に落下して逃げてしまう。大変小さいので一端地面に落ちたら探しあてるのは不可能である。
そこで、地面に落下する習性を逆手にとって、受け皿にサラダ油を1cmほどいれたものを準備し、そこに落下するように仕向けると、相当数のバラゾウムシを簡単に捕獲することが出来る。サラダ油の中に落ちたバラゾウムシは数秒で成仏する。受け皿は、湯のみ、コップ、コーヒーのビンなど、取り扱いが容易ならば何でもOKである。コツさえつかめば、庭を軽く一周するだけで20匹以上も捕獲できるようになるだろう。