病害虫の防除 本文へジャンプ
病害虫防除の基本方針

●病害虫を防除する目的
病害虫を防除する目的は、ボクがバラを栽培する目的に直結している。ボクがバラを栽培する目的は、端的にいえば自己満足のためであるが、ご近所の方々にその成果を見ていただき、「バラを植えてみたい。」もしくは「ウチの庭も負けてられない。」と思わせることである。その結果、ボクが住む地域の美化・緑化に微力ながら貢献することになると考えている。ボクにはそういった目的があるので、咲かせたバラには、それを見る者に訴えかける説得力が伴わなければならない。うどん粉病や黒点病で花が全然咲きませんでしたとか、まかり間違っても灰色かび病が蔓延し、ミイラのように汚くなった咲きがらが先端にいつまでもしがみついているなどということは許されないのだ。そのような醜態をご近所に曝す位であれば、最初からバラなど無い方がよっぽどマシである。そのような訳で、病害虫の脅威からバラを守らなければならないと考えるのは至極当然のことである。

●病害虫防除の考え方
バラの病害虫防除には色々な考え方があり、農薬栽培、減農薬栽培、無農薬栽培等がある。ところで、近所の本屋に立ち寄って各種園芸雑誌をみるとバラの無農薬栽培が流行しているようである。そして、無農薬という言葉が躍るたびに、私たちの食文化や緑を守ってくれている農薬が悪という風潮がなぜ生まれてしまっているのか理解に苦しむ。全ての園芸植物の中でも際立って長期間にわたり人間の手が加えられた結果、バラは類稀なる美しさと、馥郁たる香りを身につけることが出来た。しかし、それと引き換えに病害虫に非常に弱いという欠点を有している。バラ関連雑誌やカタログを見ると、「耐病性が高い。」などという表現が躍っているが、それはあくまでも以前の品種と比べたら耐病性が高いということであり、その他の園芸植物と比べた場合、最も耐病性が低い品種群であると考えている。庭で病気になるのはバラだけだ。他の花木は無農薬でも殆ど病気にならないのだ。雑誌やカタログの都合の良い情報だけを切り取って農薬から目を背けるのではなく、現代バラは台木の助けがなければ生育すらままならないほどに弱い存在という、「現実」に向き合う冷静さが必要だと考えてる。
農薬とは即ち包丁である。「農薬は危ないから使うな。」というセリフは、料理を覚えようとしている人に「包丁は危ないから使うな。」と言っているに等しい。こと病害虫に弱いバラ栽培に関しては尚更の事である。
最初に包丁の使い方を正しく学んだ人は、将来一流の料理人になって、人に幸せを与えられる存在になるかもしれない。しかし、包丁の使い方を知らない人は、まともな料理など出来るはずもない。最悪、誤った使い方をして、怪我をしてしまうかもしれない。その結果、「料理なんてキライだ。もうやらない。」などいう事態になったら最悪の結末である。
バラ栽培も同じで、最初に正しい農薬の使い方を学んだ人は、農薬を正しく・安全に使いこなし、少ない労力で最大の成果を上げ、その結果街一番のローズガーデンを作り上げるかもしれない。逆に農薬の使い方を教わらなかった人は、農薬散布が出来ないという理由だけで、その素晴らしさを味わうことなく「バラは手間ばかりかかって嫌いだ!もうやらない。」などと結論付けられてしまったら、それこそ最悪の結末である。
農薬を闇雲に否定することは、多くの一般ガーデナーからバラ栽培の楽しみを奪ってしまう危険性を併せ持つ。せめてバラ関連雑誌だけでも、無農薬への過度な煽動はやめて頂き、正しい農薬使用方法を指南して欲しい。どうしてもバラを病気にしてしまう方だって、農薬を正しく使いこなせば美しいバラを楽しむことが出来るかもしれないのだ。

上記のような考えを持っているボクには農薬を否定する意義を見いだせないので、無農薬栽培はボクの考え方に合致しない方法である。ただでさえ病害虫に弱い50株以上ものバラを、限られた時間の中で無農薬で立ち向かい、やっかいなうどん粉病や黒点病を防除して最良の結果を得ることは、現時点で不可能であり、ボクがバラを栽培する目的を達成できないのは火を見るよりも明らかである。無農薬でバラを育てられる方は現実にいらっしゃるが、観察眼に優れ、高い技術を持った無農薬栽培の達人だと思う。とてもボクにはマネできそうもないし、挑戦しようとも思わない。ボクの目的は、無農薬栽培に挑戦する事ではないのだ。

農薬の使用回数を減らして天然由来の製剤の力を利用する減農薬栽培は、試行錯誤というバラ栽培の魅力を味わうことのできる方法だと思う。ただ、この方法は農薬の知識のみならず、木酢液やニームといった知識も必要になる。また、その利用方法も確立されていないと思われ、高度な栽培技術が必要である。素人のボクが迂闊に手を出しても、得られる成果は限定的であろう。

残された栽培方法は、農薬栽培である。厳しい基準を持つ日本で使用される農薬は世界トップクラスの品質と安全性能を兼ね備えていると考えている。唯一の難点は、世間から誤解されている事であるが、用途と使用方法さえ守れば、現時点で考えられる最高の成果を、最も「確実」・「簡単」かつ「安全」に達成できると考えている。農薬栽培は、ボクの思想と目的に最も合致した栽培方法である。ただし、農薬は散布すれば瞬時にうどん粉が完治するような単純なものでなく、試行錯誤による経験の積み重ねは絶対に不可欠である。なお、何でもかんでも農薬を利用してやろうなどとは考えておらず、農薬を使うよりも効果的かつ楽な方法がある場合は、その方法に頼る。たとえば、害虫の補殺などである。

●3大病害虫
病害虫によって損失する花の数の合計を100とした場合、我が家では、感覚的に言って下記のようになる。
うどん粉病による損失 40
クロケシツブチョッキリ(バラゾウムシ)による損失 25
黒点病による損失 25
その他の病害虫による損失 10

個々の庭で大きく違いがあると思うが、ボクの庭の病害虫は、うどん粉病・バラゾウムシ・黒点病が殆どを占めている。ボクはこの3つを、我が家の3大病害虫と位置付けている。これをみれば、躍起になってアブラムシやエダジャク、ヨトウムシを叩いても、ほとんど効果を上げられないことがわかる。重箱の隅をつつくような努力はほぼ無意味であり、上記の3大病害虫をまず叩くことが先決と考えている。

●防除方法
(1)うどん粉病・黒点病
日々の観察と、農薬散布による防除を基本とする。
詳細はうどん粉病黒点病の項を参照。

(2)クロケシツブチョッキリ(バラゾウムシ)
日々の観察と、補殺による防除を基本とする。
詳細はクロケシツブチョッキリ(バラゾウムシ)の項を参照。

(3)その他の病害虫
効果が限定的なため、基本的には無視し、その労力は3大病害虫の防除に回す。