病害虫の防除 本文へジャンプ
アブラムシ

●症状
バラつく病害虫として真っ先に思いつくのがこの「アブラムシ」であろう。よく、「いつの間にこんなにアブラムシが集まってきたのだろう?」と言われるが、卵の状態で越冬できたラッキーな一匹や風に乗って自宅の庭に舞い降りてきた一匹が、単為生殖という裏技を使って自分のクローンを大量に産み出すことによって増殖するのだ。産み出されたクローンはまたさらに自分のクローンを産み出すことができる。交尾などという面倒で時間のかかる儀式を使わずとも増殖できる単為生殖によって、あっという間にアブラムシだらけになってしまうのだ。

最初の一匹だった一枚目のアブラムシは、単為生殖によって二枚目の写真のようにあっという間にバラの蕾や新梢を覆いつくしてしまう。

二枚目の写真をクリックしていただくと大きな写真が参照できるが、ある一匹がお尻から透明な分泌物を出しているのを観察できる。これはアリの食事となる分泌物である。何故そんなことをしているかというと、テントウムシといったアブラムシの天敵から身を守るすべを持たないアブラムシは、アリに食事を提供する代わりに、アリに天敵から身を守ってもらうためとされている。

アブラムシにはテントウムシのほかにカゲロウやカマキリの幼生など、多数の天敵が存在しているが、これは庭で見つけた「ヒラタアブ」の幼虫。知らないと蕾を食い荒らしている害虫のように見えるが、実はアブラムシを退治してくれている真っ最中だったりする。極悪面の幼虫なので誤解されやすいが、見つけても放置してあげよう。

写真をクリックすると大画面が表示されるようになっているが、ヒラタアブの幼虫がアブラムシのコロニーのど真ん中に陣取って、無双状態にアブラムシを退治してくれているのが分かる。
ヒラタアブの食事後は白くなったアブラムシの残骸が散らばっているのですぐに分かる。大食漢でアブラムシ退治効果が高い益虫だ。

ひ、ひでぇ・・・。

ここまで豪快に喰われているアブラムシが気の毒に思えてきた。

このように、アブラムシと天敵たちの攻防を見ているだけでも面白いものがある。

これは「テントウムシ」の幼虫。口元を見ると哀れなアラムシが「ムシャムシャ」と音を立てて食べられているのが分かる。ただ、ヒラタアブの方が大食漢で役に立つ存在だと思う。

テントウムシの幼虫も極悪面だ。害虫と勘違いして退治してしまわないようにしよう。

新梢もアブラムシの大好物。

実際問題これくらいの発生ならば全然大したことないが、「アブラムシは天敵に任せておけばよい」などと油断していると想像を絶する爆発的増殖をしている場合があるので注意を要する。

●防除に対する考え方
バラについてよく知らない方が「バラ栽培」と聞いて「大変ですね〜。」と即答してくる最大の根拠はまさにこの「アブラムシ退治が大変そう」というものであろう。しかしながら、バラにつく病害虫の中で最も警戒すべきは「カミキリムシの幼虫」であり、カミキリムシの被害に比べればアブラムシによる被害など無に等しいものだ。カミキリムシの幼虫は外から見えないし、放置すると数年かけて育てた大切なバラを一発で枯死させるほどの破壊力があるが、アブラムシは外から容易に確認できるし、放置しても株を枯らすほどの破壊力はないし、気になったら軽く農薬を散布するだけで一発で全滅させられる。

発生初期は農薬を使わずとも、指でつまむだけでアブラムシが形成したコロニーを崩すことができるだろう。軽くオルトラン粒剤を地面に地面に撒いておくのも簡単で有効だろう。手に負えないほどのアブラムシが発生したら、農薬散布の出番である。ボクが使用するのはスミチオンやマラソンであり、農薬が濃いと生まれたての新梢を痛めることがあるので規定よりも薄めにして使うことが多い。うまく散布できれば労することなく一発で全滅させることができるだろう。