手ブレはなくならない

ボクの趣味は今更説明するまでもなく写真であるが、それなりの熱意を持って撮影しているので、例えばボクのパソコンのデスクトップや携帯の中に入っている写真を見て、「凄いねそれ。どうやって撮ったの?」と聞かれることがたまにある。

ボクの中では真に納得のいく写真なんて数か月に一枚あればいいと思っているので、そんなには凄くはないと思っているのだが、夜景にせよ、モスクのような建築物撮影にせよ、娘たちのポートレート撮影にせよ、レンズの選択から始まって背景のコントロール・ボケ具合・露出等々・・・その他様々な事に注意しながら撮影しているのは間違いない。

しかし、そもそもの大前提として「手ブレしていない事」「ピントが合っている事」という、写真撮影において「基本中の基本」、参考書に一番最初に乗っているこの2点が疎(おろそ)かになっていたら、それはボツ写真である。ボクは腕が未熟なので、一枚一枚を真剣に撮影していたとしても、やはり「手ブレ」「ピンボケ」写真を量産してしまう。なので、ひとつのシーンでも自分が納得いくまで撮影し、その中で最もよく撮れた写真を採用することにしている。

例えばある単焦点レンズを購入して使ってみた結果、「このレンズには解像力がない・・・」といったご意見が持ち上がる事がある。しかし、レンズを疑う前に「手ブレ」や「ピンボケ」を疑ったほうが議論として有意義であろうとボクは考えている。ボクの視点では、それらほとんど全て手ブレかピンボケであろうと考える。ここ数年以内に発売された単焦点レンズであれば、それらはかなりの解像力を持っているだろうと、容易に推察できるのだから。

機種 D4 「AF-S NIKKOR 35mm f/1.4G」

「Masujid Putra」

例えばこの写真。ニコンの35mmフラッグシップレンズ「3514G」で撮影した一枚である。(※画像をクリックすれば大サイズで表示)

一般的な方が見ればそれなりに良く撮れている写真であるが、ある程度慣れた人がこの画像を見れば「描写が甘い」と感じるであろう。

描写が甘い事に気がついたとき、この甘さはどこから来ているのか考えなければならない。たかが数枚撮影しただけで「これはレンズが悪い」と考えてしまうのはご法度だ。レンズを疑う前に、ボクは自分を疑う。
このレンズに解像力がないのではなく、これは手ブレ写真なのだ。
レンズ AF-S NIKKOR 35mm f/1.4G
露出モード 絞り優先オート
絞り F2.8
露光時間 1/50s
ISO感度 ISO320
露出補正 +0.7
測光モード マルチパターン測光
焦点距離 35mm
AFモード AF-S シングルエリアフォーカス
ピクチャーコントロール 風景
三脚 手持ち

機種 D4 「AF-S NIKKOR 35mm f/1.4G」

「Masujid Putra」

多少の構図の違いは差し置いて、上記写真と同じタイミングで撮影したものである。(※画像をクリックすれば大サイズで表示)

一般的な方が見たら両差の差は感じられないかもしれないが、目が慣れている方であれば、こちらのほうがよりくっきりと、よりハッキリと写っていることが分かるだろう。

拡大すると分かるが、こちらの方がブレていない。紙一重の差でしかないが、結果として一段上の写真となる。
レンズ AF-S NIKKOR 35mm f/1.4G
露出モード 絞り優先オート
絞り F2.8
露光時間 1/40s
ISO感度 ISO320
露出補正 +0.7
測光モード マルチパターン測光
焦点距離 35mm
AFモード AF-S シングルエリアフォーカス
ピクチャーコントロール 風景
三脚 手持ち

両者の違いを分かりやすくするために、一部を切り出したもの。

1枚目 2枚目
描写が何となく甘いが、これはレンズのせいでは無く、手ブレが原因。 これは手ブレせずに写し撮れた一枚。花の中の点まで克明に写っているのが分かる。

重箱の隅をつつくような非常に細かい事を一生懸命論じているように思われるかもしれないが、これってものすごく大事なことで、レンズを生かすか殺すかはまず以って手ブレ次第。それを見られて「綺麗ですね〜」で終わる写真になるか、人を「ハッ」とさせられるような写真になるか、ここに決定的な差が生まれる。

手ブレ「したか」、もしくは「しなかったか」は、今回のケースで言えばシャッター速度が約1/40sという一瞬の時間で発生したことであり、そのコントロールは難しい。一枚一枚、真剣に撮っているからこそ尚更だ。 もっと言えば、今回挙げた2枚目も「完全にブレていないか?」と言われれば、多分まだブレている。「AF-S NIKKOR 35mm f/1.4G」の真の実力は、こんなものじゃないはずだと思っているからだ。
今回のケースでは神聖なモスクにつき三脚を広げることなんてできない。しかし、結局のところそのレンズの解像力を完全に引き出して撮るためには、「三脚・レリーズケーブル・ミラーアップ」など、昔から言われている基本事項が必要になってくるのは当然のことであり、そこまでやって初めて、次の段階として個々のレンズの解像力について議論が出来るようになるだろう。

ボクは写真を始めて10年以上経つが、理想の一枚にはまだ巡り合えていないし、それを撮ってみたいと常に考えている。そのためには手ブレなんかでつまずいてはいられないのだが、これがなかなかどうして、完全に手ブレしていない写真を撮るのは、非常に難しい事でもあるのだ。

ピンボケはなくならない

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