絞り値の使用頻度考察
AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8G ED VR II

先日からまとめている2015年のレンズ使用傾向だが、最後を飾るのは2015年で最もシャッターカウント数が多かった「70-200mmF2.8G VR II」である。このレンズを購入する前のシステムとしては、(化石のようなMicro105mmF2.8Dがあったとはいえ)実用上としては85mmF1.4からいきなり300mmF2.8に飛ぶような形になっていたため、105-200mmという黄金の中望遠域は写真を始めてからこのレンズを購入するまで空白域だったのだ。

14〜85mmまでのシステムをこれ以上ないというほどに完璧に揃えたあたりでやっと手に入れた70-200mmF2.8G VR II。それはボクの予想を上回る頻度で活躍してくれており、連写を多用する動体で多く持ち出されると言う特性および、これ1本で70mmF2.8G, 85mmF2.8G, 105mmF2.8G, 135mmF2.8G, 180mmF2.8G, 200mmF2.8Gという「5本分の仮想単焦点レンズとしての役割を持たせられる特性」などから、2015年では最もシャッターカウントを稼いだレンズとなった。そう考えると、写真を始めてからかれこれ10年以上、よく70-200mm無しでやってきたものだなと自分でも思う。

14-24mmF2.8Gと同じく、本レンズはズームレンズであるがゆえに焦点距離が可変のレンズだ。よって各絞り値に加えて焦点距離の使用頻度データも併記している。


2015年 AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8G ED VR II 絞り値実績

上記グラフが70-200mmF2.8Gの2015年における絞り値の使用頻度である。F2.8とF4がやけに多くなっている。

このレンズはF1.4レンズより2段暗いF2.8始まりのレンズであるが、F2.8開放からガンガン使われる事を想定されているレンズであり、開放で使うことに抵抗感を覚えることは少ない。少し薄暗くなるとすぐにF2.8が必要になってくる事もあり、やはりF2.8の使用頻度は高くなるのはもはや必然的だろう。しかし、このレンズにおいてボクが最も好きな絞り値は開放から一段絞ったF4であり、もっと言えば135mmのF4がボクが最も好んで使用する設定値であるため、体感的な使用頻度としては最もF4が高く、後述する焦点距離では135mmの使用頻度が高くなっている。

また、このレンズを使用するにあたって特徴的なことがある。それは、その他のレンズについては「絞り優先オート」がほぼ99%を占めるような状況の中、このレンズに限って言えば結構な頻度で「シャッター速度優先オート」を使っている事である。このレンズはその特性上動体撮影に向いたレンズだと思っているのだが、動体を撮るときは絞りのコントロールよりもシャッター速度のコントロールの方が重要な事が多い。つまり、それを写し止めたいのか、流したいのかでシャッター速度を任意に選ぶ必要がある。そのような場合は「絞り優先オート」では無く「シャッター速度優先オート」の方が好適であることを今更ここで詳細に説明する必要はないだろう。「シャッター速度優先オート」はシャッター速度が固定になる代わりに、カメラ側が絞り値(やISO感度)を自動的に選んでくるので、結果的に絞り値の傾向はバラバラになりやすい。他のレンズは絞り値のキリ番、F2.8、F4、F5.6、F8が顕著にピョコピョコ高くなっているのだが、このレンズではその傾向が少なくなっているのはそういう事だ。極端に絞り込まれたデータがあるのは、シャッター速度優先オートの流し撮りの結果だろう。


AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8G ED VR II
絞り値 F2.8
機種 D4 ボクがこのレンズで開放F2.8を用いるのはどんな時かと言うと、やはり室内や暗闇などで十分なシャッター速度を稼げないときに開放を用いることになる。

本レンズはF2.8始まりであるがゆえに、F1.4レンズと比較すると2段も暗いレンズではあるが、このレンズは開放からガンガン使用されることを前提として設計されているため、開放で撮影したとは思えないほどのパワーを発揮してくれる。

砕けて言うと「鬼」

ズームレンズとはとても思えない写りであり、流石はニコンの看板レンズだ。というか、そもそもこれでISO12800というD4の性能もすさまじいものありけりだ。
レンズ AF-S NIKKOR
70-200mm f/2.8G ED VR II
露出モード 絞り優先オート
絞り F2.8
露光時間 1/320s
ISO感度 ISO12800
露出補正 -0.3
測光モード マルチパターン測光
焦点距離 135mm
AFモード AF-C シングルエリアフォーカス
VR ON
三脚 手持ち


AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8G ED VR II
絞り値 F4
機種 D4 ボクがこのレンズでF4を用いるのはどんな時かと言うと、人物撮影が多い。

開放から使用されることが想定された大三元レンズとはいえ、やはり開放から1段2段と絞ったほうが描写特性が上がるため、余裕があるなら絞って使いたいし、その方が安心できるだろう。

実用上、ボクがこのレンズで最も多用している絞り値がF4である。
レンズ AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8G ED VR II
露出モード 絞り優先オート
絞り F4
露光時間 1/80s
ISO感度 ISO220
露出補正 0
測光モード マルチパターン測光
焦点距離 70mm
AFモード LVモード ノーマルAF
三脚 手持ち


AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8G ED VR II
絞り値 F5.6
機種 D4 ボクがこのレンズでF5.6前後を用いるのはどんな時かと言うと、風景撮影が多い。

開放F2.8から解像力が高く、無収差のレンズなのにも拘らず、そこから2段3段4段と絞ると高解像・無収差レンズとしての特性を一段と発揮する。

高解像・無収差レンズが面白いか面白くないかという話は単焦点レンズに譲るとして、今現在大三元ズームレンズとして求められる特性としては、ほぼ完ぺきなレベルだと思っている。この写りでダメと言われても、ちょっと困る。
レンズ AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8G ED VR II
露出モード 絞り優先オート
絞り F5.6
露光時間 1/6s
ISO感度 ISO200
露出補正 -0.3
測光モード マルチパターン測光
焦点距離 70mm
AFモード LVモード 拡大鏡マニュアルフォーカス
三脚 三脚・レリーズケーブル・ミラーアップ


AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8G ED VR II
絞り値 F8以上
機種 D4 ボクがこのレンズでF8以上を用いるのはどんな時かと言うと、風景撮影が多い。

ボクは大口径崇拝者であって、ナノクリ信者ではないのだが、このレンズを購入するにあたって撮りたかった被写体の一つは夕日であり、このレンズは見事にボクの期待に応えてくれた

ニコンを代表する一本。

例え今、使い道が思い付かなかったとしても持っておいて損はない。そんな一本だ。
レンズ AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8G ED VR II
露出モード 絞り優先オート
絞り F9
露光時間 1/500s
ISO感度 ISO100
露出補正 0
測光モード マルチパターン測光
焦点距離 200mm
AFモード AF-C シングルエリアフォーカス
三脚 手持ち


2015年 AAF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8G ED VR II 焦点距離実績

本レンズはズームレンズがゆえに焦点距離が可変である。よって各焦点距離ごとの使用頻度を示したものが上記グラフとなる。

一見しただけではバラッバラに見えるかもしれないが、よく見ると「70mm」「85mm」「105mm」「135mm」「180mm」「200mm」の撮影頻度がズバ抜けて多い事が分かる。次に多いのは「110mm」だがこれは「105mm」に設定したと思ったらいつの間にかちょっとずれてしまい「110mm」になってしまったものであり、「86mm」は同様に「85mm」に設定したと思っていたらいつの間にかちょっとずれてしまい「86mm」になってしまったものである。その他の細かいデータは、全1728枚中1枚から10数枚に過ぎず、これらは何らかの拍子に意図せずその焦点距離で撮れちゃったものである。

よって「86mm」を「85mm」に統合、「110mm」を「105mm」に統合し、撮影枚数が全体の1%の物について削除して補正データとすると以下のようなグラフになる。

もう、これでもかって程に焦点距離のキリ番打ちを徹底して写真を撮っていることが伺えるだろう。これこそがズームレンズ使用時において「自らに課したルール」であり、それを守れないようになってしまったら、ボクはこのズームレンズを投げ捨てる。いや・・・、投げ捨てるのは勿体ないのでヤフオクとかで売却し、105mmF2Dや135mmF2Dといった単焦点を利用する道を選ぶ。
「なんでこんな面倒なことをしているの?」と疑問に思われるかもしれないが、写真を撮るうえで自分が前後左右上下に歩き回ることを忘れたくないからだ。とにかくこの一点に尽きる。ズームを持つとその場から一歩も動かず、ファインダー内でズーミングして作った気になってしまう自分がいる。そんな自分を徹底的に排除するために焦点距離のキリ番打ちというルールを自らに課しているのだ。

ズームを使うとワイド端とテレ端の両極端で真ん中は使わないという結果になりがちだが、下記グラフを見るとかなりまんべんなく各焦点距離を使い分けられていると、自分でも思うんだ。

2015年 AAF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8G ED VR II 焦点距離補正後


AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8G ED VR II
焦点距離 70mm
機種 D4 ボクがこのレンズで70mmを用いるのはどんな時かと言うと、人物・風景撮影が多い。

ボクの中で70mmという焦点距離は何となく中途半端であるため積極的に使おうとは思っていないのだが、もともと中望遠レンズであるからしてシチュエーションによっては望遠すぎる事が多々あり、そういった場合はワイド端として利用頻度が高い。

場所はタイの海に浮かぶ孤島、ナンユアン。もう二度と来ることはできない・・・、でも最高のシーンを70mmで切り撮った。
レンズ AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8G ED VR II
露出モード 絞り優先オート
絞り F9
露光時間 1/500s
ISO感度 ISO100
露出補正 -0.3
測光モード マルチパターン測光
焦点距離 70mm
AFモード AF-C シングルエリアフォーカス
三脚 手持ち


AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8G ED VR II
焦点距離 85mm
機種 D4 ボクがこのレンズで85mmを用いるのはどんな時かと言うと、文字通り人物撮影が多い。

例えば街中を歩いていて、後をつけてきた知らない男から前触れもなく「85mmと言えば?」とだけ問われたら、反射的に「ポートレート」と答えてしまうのが写真好きとして至極当然の反応だろう。

しかしながら、このレンズにおける85mmを85mmF1.4と言った単焦点レンズと同じような感覚で扱えると思ったら大間違いでストレスがたまる事になる。とにかく人物に寄れないし・実効焦点距離が短いので小さく写る。なので85mmで撮りたかったらボクは迷わず85mmF1.4を持ち出しており、本レンズで85mmの使用頻度が少ないのはそういう理由だ。
レンズ AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED
露出モード 絞り優先オート
絞り F4
露光時間 1/500s
ISO感度 ISO500
露出補正 +0.3
測光モード マルチパターン測光
焦点距離 85mm
AFモード AF-C シングルエリアフォーカス
三脚 手持ち



AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8G ED VR II
焦点距離 105mmおよび135mm
機種 D4 ボクがこのレンズで105mmや135mmを用いるのはどんな時かと言うと、人物撮影が多い。

このレンズは特性上被写体に寄れないし・実効焦点距離が短いので小さく写るのが唯一の難点だが、105mmや135mmになってくると、被写体との距離感が丁度よくなってくる。同一条件で並行して85mmF1.4と使い比べた事は無いのだが、感覚的に135mmにすることによって、85mm単焦点を扱っているかのような扱いやすさになる。

結果的に焦点距離は135mm、絞りは1段絞ったF4と言う設定値がボクのお気に入りだ。
レンズ AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED
露出モード 絞り優先オート
絞り F4
露光時間 1/320s
ISO感度 ISO1000
露出補正 0
測光モード マルチパターン測光
焦点距離 135mm
AFモード AF-C シングルエリアフォーカス
三脚 手持ち


AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8G ED VR II
焦点距離 180mmおよび200mm
機種 D4 ボクがこのレンズで180mmや200mmを用いるのはどんな時かと言うと、動体撮影が多い。

世の中には180mmF2.8と言うレンズがあるからして、180mmも焦点距離のキリ番だと思っているのだが、本レンズの焦点距離目盛には180mmのマークがない。よって紙とセロハンテープを使って180mm目盛を付けているがこれが中々便利でお勧めだ。

個人的には焦点距離のキリ番でシャッターを切りたいと思っているので、ズームレンズを装着した際はファインダー内に現在の焦点距離が表示されたらファインダーから目を離さずとも現在の焦点距離を確認できるようになるので、どんなに良いかと思うのだが、そんなことを考えるのはボクだけなのかもしれない。
レンズ AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8G ED VR II
露出モード シャッター速度優先オート
絞り F6.3
露光時間 1/2500s
ISO感度 ISO3600
露出補正 0
測光モード マルチパターン測光
焦点距離 180mm
AFモード AF-C ダイナミック51点
三脚 手持ち


以上が「70-200mmF2.8G VR II」の各絞り値及び焦点距離の使用頻度と作例になるが、本レンズはとにかく中望遠レンズとしてめちゃくちゃ万能なレンズで何でも撮れる。はっきり言ってズームだという理由で大きな期待を寄せていたわけではなかったのだが、ここまで使えるレンズだとは思っていなかった。

写真にある程度ハマってくると必ず「中望遠レンズを何にするか?」という問題にぶち当たるが、予算が許すのであれば間違いなくお勧めの一本だ。ただし、万能なレンズとはいえ、寄れない事と近接では実効焦点距離が極端に短くなるという特性は理解して使う必要がある。それさえ分かっていれば、このレンズはあなたにとって大きな武器となるハズだ。


TOP