AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8G ED VR II
焦点距離 キリ番打ちデータ

14-24mmf/2.8Gに続き、例外的に認めたズームレンズが70-200mmf/2.8G IIとなった訳だが、多分ボクはこのレンズを他の方々とは少しだけ違った使い方をしていると思う。

それは70mm, 85mm, 105mm, 135mm, 200mmの焦点距離のキリ番打ち。ファインダー内に焦点距離が表示されるわけではないので、ワイド端70mmとテレ端200mm以外の焦点距離に設定したければ、わざわざファインダーから目を離し、目視で各焦点距離目盛りを厳密に合わせなければならない少し面倒な撮影方法だ。しかし、それとて単焦点レンズ交換の手間に比べれば歴然と短時間で済む問題なので、ボクにとって何ら苦になるものではない。また撮影がその時点でいったん仕切り直しとなり、意識せずとも今目の前にある状況を見渡せるため、新たな構図を発見できるかもしれない。

このレンズは先稿にて申し上げた通り、被写体との距離が最短撮影距離〜5m付近で実効焦点距離が大きく変わるレンズなので、そんなことをやっても焦点距離が変わっちゃうから意味がないと思われるだろう。しかし、このような仕様を持つレンズだからこそ、各焦点距離および被写体との距離感でどのように描写が変化するのかを見極める近道をするために、焦点距離の決め打ちが必要だと考えている。行き当たりばったりの焦点距離で撮影していると、各焦点距離と被写体との距離感、またはそのスィートスポットをつかむのに時間がかかってしまう。

また、これが最も大切だと思っているのだが、ズームリングを回しただけで構図を作った気になってしまうのを防ぐ目的がある。単焦点レンズの基本は足ズームであり、その場所に合わなければレンズ交換という面倒な儀式が要求されるため、自らが前後左右上下に動くことが絶対的に要求される。しかし、その過程において思わぬ構図を発見できる事が多々ある事は、単焦点をお使いの方なれば誰しも経験しているだろう。しかし、ズームレンズを装着した途端に自らはほとんど動かずファインダー内でズームリングを回しただけで何となく構図が作れてしまう、もしくは作った気になってしまう自分がいる。そんな自分を完全に排除するには、焦点距離のキリ番打ちが非常に有効な手段なのだ。

それならば一体どの程度焦点距離のキリ番打ちを意識しながら撮影しているのだろうか?それをまとめてみたのでご紹介してみたい。購入後3週間程度で撮影し、選別後に残った写真のデータをまとめたものになる。



<ポートレート>


撮影シーンは子供たちは勿論の事、MOTO GPでのキャンギャル特集のデータを含む。
一見中途半端な焦点距離が並んでいるように見えるが、これをよく見ると86mmや100mm、110mmなどキリ番に近い焦点距離となっている。これは任意の焦点距離で撮影しようとした際、焦点距離目盛が微妙にズレた状態で撮影してしまったため、このようなデータとなってしまっているのだ。ここで+/-5mmのズレは同じ焦点距離だとみなして良いとすると以下になる。


全てのデータが焦点距離のキリ番の中に入る。

ここで浮かび上がってきたのは135mmが思いのほか多く、全体の30%を占めており次いで70mm、105mm、200mm、最も使用頻度が低いのは85mmと言う結果となった。135mmの使用頻度が多いのは、ポートレートにおいて135mmに設定するとちょうど実効焦点距離が85mm程度に感じられるからだろう。逆に、大好きなはずの85mmが85mmではなくなってしまうので、85mmの出番は少なくなっている。



<運動公園・公園>


これは自転車公園・自宅公園など広めの空間で動き回る子供たちを撮影した際のデータとなる。
これもまた86mmや100mmなど中途半端な焦点距離となっているが、上述のとおり焦点距離目盛が微妙にズレた状態で撮影してしまったためだ。ここで同じく、+/-5mmのズレは同じ焦点距離だとみなして良いと仮定すると以下になる。


これも全てのデータが焦点距離のキリ番の中に入る。

自転車公園や自宅公園など、広めのシチュエーションではやはり望遠側を頻繁に使うのは明白であろう。ここで感じたのは、少し離れた位置から200mmで狙う際は実効焦点距離も200mmに近付くため、200mmでは望遠過ぎるが、かと言って135mmでは短すぎるという事だ。よって180mmの目印も欲しいと何度も思った。



<MOTO GP>


これは完全に200mmが圧倒的多数を占めたのは当然か。また完全に自分の座席から移動できず、めぐるましく変わる状況に流石に細かく焦点距離のキリ番打ちは難しい状態だった。しかし、よく見ると実ショット数としてはほんの1〜4ショット程度でしかない。殆ど全部200mmだったといっても過言ではないだろう。



<夜景>


これはシンガポールでの夜景データ。夜景はじっくりと撮影に臨めるため、キッチリと焦点距離を刻んでいる。しかし85mmの8と5の間に設定すると86mmとなってしまうため、5の位置で撮影する必要があった。

左右には動けるが、前後には移動できない撮影スポットだが、焦点距離をまんべんなく使おうとしている事がデータからも読み取れる。今回のベストショットは85mmから生み出されていることからも、現場では半信半疑でも、その焦点距離で撮っておく事は必須である。キリ番打ちを意識していなければこのシーンでは間違いなく85mmでは撮っていなかった。



<ここ3週間全体>
ズレてしまった+/-5mmは同じ焦点距離だとみなすと、この3週間程度で70-200mmf/2.8G IIで撮影した焦点距離データは以下のようになる。



MOTO GPのレース中に120mmで撮影してしまった4ショットを除いては全て70mm, 85mm, 105mm, 135mm, 200mmのキリ番で撮影している事が分かる。キリ番では無かったのは658枚中4ショットだけ。残り654ショットは全てキリ番。ポートレート・モーターレース・夜景など様々なシチュエーションにおいてもこの徹底ぶりには、まとめてみた自分も驚いてしまった。

ところで、200mmの割合が多いのは完全にMOTO GPの流し撮り連写効果によるもので、それを除けばまんべんなく使おうとしている事が分かる。ズームはワイド端とテレ端しかほとんど使っていないという極端な使い方をされる方もいらっしゃるかもしれないが、キリ番打ちを意識しておくと自然とこのような撮影データとなって行くだろう。



<番外/お遊戯会・も使用した場合>
ちなみに、焦点距離なんて全く意識していないも本レンズを利用した幼稚園のお遊戯会。その時の焦点距離データを作ってみたら以下のように大変な事になっていた。



何でもありのカオス。ワイド端・テレ端が極端に多く、中間はバラバラ。お遊戯会という特殊なシチュエーションを考慮したとしても、ボクにとって102mm、116mm、145mmとかはあり得ない。少なくともshinzou's Photoを訪れ、本コラムをここまで読破して下さっている方であれば、どちらのデータが意識的かつ丁寧に写真を撮ろうと努力しているのか、それをここで詳細に説明せずとも分かって頂けると思う。

個別の写真からは焦点距離をいくつで撮ったかなんて見えてこないし、見る必要もない。それでも、その裏でその写真をどうやって撮ったのか他人に説明しても恥ずかしくない「美しい設定」で撮影しておく。これは写真を撮るうえでは大切なことだと、ボクは思うんだ。


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