AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8G ED VR II
試写

不定期に開催しているレンズ試写記であるが、今回登場するのは通称「大三元」と呼ばれるf/2.8通しのズームレンズの一角を担う「AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8G ED VR II」である。ボクのホームページを訪問して下さっている方であればお分かりになって頂けると思うが、ボクが普段利用しているレンズは単焦点レンズのみであり、唯一の例外として超広角域だけは他に代用の利かない大三元レンズのうちの一本「AF-S NIKKOR 14-24mm f/2.8G ED」を使用している。そのシステムを箇条書きにして並べてみると、以下のようになっている。

14-24mmf/2.8G
24mmf/1.4G
35mmf/1.4G
58mmf/1.4G
85mmf/1.4D
300mmf/2.8D
600mm (x2テレコン使用)

こうして見てみると14〜85mmまではこれ以上ないほどの布陣となっているが、105mm、135mm、200mmと言った焦点距離が抜けている事が分かる。否、正確に言うと105mmDタイプマクロを所有しているのだが、このシステムの中においては分が悪いためにリストから外している。

もともと単焦点レンズにしか興味のないボクではあるが、先日のクラビ・ピピ島でもう少し引き寄せて撮ってみたいと思う事があったり、幼稚園のお遊戯会でサンニッパはやりすぎ感が漂う事があったり、また70-200mmの作例を見たりするうちに、「そろそろAF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8G ED VR IIも試写をしておかなければ。」と思うようになった次第である。普通であれば写真にのめり込んだらまず最初に「憧れの一本」となるハズのレンズであるが、写歴10数年にして初めてこのレンズに興味を持ったのは、普段から単焦点のキレ味やボケ味にぞっこんになっているからだろう。

こいつを試写してみたいと思ったが吉日、早速「クアラルンプール・ニコンセンター」に出向き「AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8G ED VR II」を試写してきたので、ご紹介させて頂きたい。


ところで試写の方法であるが、ボクがズームレンズの使用を嫌う理由のうちの一つとして「その場からほとんど動かず、ズーミングしただけで構図を決めた気になってしまう」からである。実際にズームを使ってみると思う事だが、その場に突っ立ってズームリングをぐりぐり回して構図を決めた気になってしまう自分が居るからズームレンズは恐ろしい。その場で一番の構図は、ズーミングで見つけるものではないだろう。まず焦点距離(画角)を決めてから自分の足で前後左右に動いて初めて構図が見つかるものだと思っている。よって今回はそれに倣い、ファインダー内で焦点距離を決めるのではなく、焦点距離を決めてからファインダーを覗いて撮影した。ボクは、これこそが正しいズームの使い方であり、一本で何本も単焦点を持っているように思える使い方でもあると思っているんだけど、どうだろう。

使用した焦点距離は「70mm、85mm、105mm、135mm、180mm、200mm」の決め打ち。絞りまで変えて撮ってたら膨大な枚数になってしまうことや、店内が暗かったので、全て絞り開放のf/2.8としている。折角なのでVRはONにして撮影しているが、ブレの原因は手ブレだけではなく被写体ブレもあるためVRの過信は禁物。確実に被写体を写し止めるべくISO感度オート(やや高速)にして撮影している。

使用ボディは自前のD4。D4に「AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8G ED VR II」を装着してみると「思ったよりも小さ(細)くて軽かった。」というのが率直な第一印象。巷では大きくて重いとされている本レンズだが、身構えるほどの重量級レンズではない。デカいレンズといえるのは「ニーニー」や「サンニッパ」〜だと思うのだが、それはボクの感覚がマヒしているからだろう。そもそも一眼レフカメラは、デカくて重いものなのだ。

なにはともあれ、いざ撮影を始めたのは良いのだが、そこでボクは初めて体験する「違和感」をこのレンズに覚えたのであった。


機種 D4 「AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8G ED VR II」

焦点距離 70mm

まず70mmにして撮影開始したのだが、最初に驚いたのはあまりにも寄れない事だった。事前にズーム全域で最短撮影距離は1.4mという事は調べて知ってはいたのだが、実際に使ってみると70mmで1.4mの最短撮影距離は、ポートレートでは使い物にならない

率直に申し上げて、これはかなり不満である。

また、「AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8G ED VR II」の本来の性能とは別問題の話になってしまうが、使用したレンズとボクのD4ボディの相性が悪かったようで、前ピンか後ピンでどうにもピントを合わせる事が出来ない。20枚程度撮影したがピントが合った写真がこれ1枚しかなく、しかも奥の瞳にピントが合ってしまっている。本来の性能を引き出した写真とは言い難いが、「Better than Nothing(ないよりはいい)」だろう。
レンズ AF-S NIKKOR
70-200mm f/2.8G ED VR II
露出モード 絞り優先オート
絞り F2.8
露光時間 1/160s
ISO感度 ISO1000
露出補正 0
測光モード マルチパターン測光
焦点距離 70mm
AFモード AF-C シングルエリアフォーカス
VR ON
ピクチャーコントロール ビビッド
三脚 手持ち

機種 D4 「AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8G ED VR II」

焦点距離 85mm

お次はボクの大好きな焦点距離、「85mm」である。85mm域においても寄れないことには変わりなく、85mmにおいてボクが大好きな王道ポートレート(モナリザみたいな)構図が全然できない。全体的に雰囲気の良い場所であれば問題ないが、そんな場所は滅多にない。今回のように店内など背景に制約がある場合は大きくぼかしてゴマかすという技も使えないのでかなり不満。

やはりボクにとって85mmのポートレートは「ハチゴーイチヨン」、つまり85mmf/1.4単焦点を超えるものはないと確信に至る
普段から58mm、85mmの単焦点でポートレートを撮影しており、それに慣れ切ってしまっているので、その素晴らしさやありがたみを思い出させてくれるものとなった。
率直に言って、単焦点のほうがぶっちぎりにキマる
レンズ AF-S NIKKOR
70-200mm f/2.8G ED VR II
露出モード 絞り優先オート
絞り F2.8
露光時間 1/200s
ISO感度 ISO1100
露出補正 0
測光モード マルチパターン測光
焦点距離 85mm
AFモード AF-C シングルエリアフォーカス
VR ON
ピクチャーコントロール ビビッド
三脚 手持ち

機種 D4 「AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8G ED VR II」

焦点距離 105mm

105mmにして撮影に臨むが、このあたりになってくると様になる。開放とは思えないようなキレも感じられる。

ポートレートとして使用するならば、実用上105mm以上と感じられた。折角85mmという絶妙な焦点距離を持つのに、それを活かせない最短撮影距離1.4mは何とかならないものだろうか。

何ともならないからそうなっている事は重々理解しつつ、何とかしてほしい。
レンズ AF-S NIKKOR
70-200mm f/2.8G ED VR II
露出モード 絞り優先オート
絞り F2.8
露光時間 1/250s
ISO感度 ISO2000
露出補正 0
測光モード マルチパターン測光
焦点距離 105mm
AFモード AF-C シングルエリアフォーカス
VR ON
ピクチャーコントロール ビビッド
三脚 手持ち

機種 D4 「AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8G ED VR II」

焦点距離 135mm

135mmに合わせて撮影すると、これくらいでやっと85mm単焦点で撮影したような絵になる。って、この辺で初めて味わう違和感を感じたのだ。

「135mmってこんな小さかったっけ?」と。

まるで85mm単焦点で撮影したように見える。寄れない事を差し引いても、以前ご紹介させて頂いた「AiAF DC-Nikkor 135mm f/2D」の絵と比べて違和感を感じる。
レンズ AF-S NIKKOR
70-200mm f/2.8G ED VR II
露出モード 絞り優先オート
絞り F2.8
露光時間 1/320s
ISO感度 ISO1400
露出補正 0
測光モード マルチパターン測光
焦点距離 135mm
AFモード AF-C シングルエリアフォーカス
VR ON
ピクチャーコントロール ビビッド
三脚 手持ち

機種 D4 「AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8G ED VR II」

焦点距離 200mm

お次はマックスの200mmに合わせて撮影したカット。ニコンのホームページに紹介されているMTF曲線そのままでISO2500とは思えないほどカリカリに解像している。これが低ISOの100〜200だったら文句なしだろう。

しかし!この至近距離で200mmだったらこんなに小さく写るはずがない。ボクの感覚では、もっとドアップで写るはずだ。

この違和感こそが、巷で言われている最短撮影距離付近では焦点距離が短くなるという「仕様」のことか。体感的には150mm位に思えるが、あくまで感覚的なものであり、普段単焦点レンズを使って決め打ちをしているボクにとっては、ものすごい違和感を感じる。

世の中にはボクが知らない色々なレンズがあるんだな。と身をもって体験してしまった。
レンズ AF-S NIKKOR
70-200mm f/2.8G ED VR II
露出モード 絞り優先オート
絞り F2.8
露光時間 1/400s
ISO感度 ISO2500
露出補正 0
測光モード マルチパターン測光
焦点距離 200mm
AFモード AF-C シングルエリアフォーカス
VR ON
ピクチャーコントロール ビビッド
三脚 手持ち

機種 D4 「AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8G ED VR II」

焦点距離 180mm

いろいろ不満な点や違和感を覚えた点を書いてしまったが、ズームレンズにしてこの描写が出来るあたり、流石は「「AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8G ED VR II」と言ったところだろう。

自宅に帰ってモニターで一目見たときに、「おぉっ!?」と前に身を乗り出させるような描写が出来るってことは、このレンズが素晴らしいレンズだって事の証である。

駄レンズではこんな雰囲気のある写真は撮れない。
レンズ AF-S NIKKOR
70-200mm f/2.8G ED VR II
露出モード 絞り優先オート
絞り F2.8
露光時間 1/400s
ISO感度 ISO1800
露出補正 0
測光モード マルチパターン測光
焦点距離 180mm
AFモード AF-S シングルエリアフォーカス
VR ON
ピクチャーコントロール ビビッド
三脚 手持ち

機種 D4 「AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8G ED VR II」

焦点距離 200mm

D4との重量バランスも良く、見た目にも格好がよい。ズーミングした時に前玉が繰り出してくるような「ダサさ」がないのも好印象だ。ボクはVR付きのレンズを所有しておらず、むしろVRは不要とすら思っているのだが、105mmを超えるような望遠域では確実に役に立つだろう。

その写りは流石は大三元レンズと称されるだけあり、実用上としては135mm〜200mmの中・望遠レンズとして使用したいと思った。

このレンズ、ズームとしては素晴らしい描写力を持つので単焦点なみとも賞されているので、同日ホンモノの単焦点レンズ「ニーニー」こと「200mmf/2G VRII」とガチで撮り比べてみたので、以下に「ニーニー」の作例も挙げさせて頂きたい。
レンズ AF-S NIKKOR
70-200mm f/2.8G ED VR II
露出モード 絞り優先オート
絞り F2.8
露光時間 1/400s
ISO感度 ISO1800
露出補正 0
測光モード マルチパターン測光
焦点距離 200mm
AFモード AF-C シングルエリアフォーカス
VR ON
ピクチャーコントロール ビビッド
三脚 手持ち


「AF-S NIKKOR 200mm f/2G ED VR II」の描写

機種 D4 「AF-S NIKKOR 200mm f/2G ED VR II」

絞り 開放 F2.0

このやわらかな雰囲気。輪郭のうぶ毛の光り方。
も、素晴らしい描写力を持つ。

両方とも絞り開放F2.8およびF2での撮り比べてみたが、「AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8G ED VR II」は善戦しているものの、「やっぱ単焦点だよなぁ・・・。」と、うならせる素晴らしい描写力を「ニーニー」は持つ。

「AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8G ED VR II」は単焦点なみだと称されるが、比べるとやはり「ニーニー」の全てを包み込むような柔らかなボケ味および、ピント面のキレには勝てない。単焦点の描写を名乗れるのは、やはり単焦点だけ。「ニーニー」「サンニッパ」「ヨンニッパ」などのレンズは、ボク達に最高峰の描写力ってものを見せつけてくれる。
レンズ AF-S NIKKOR 200mm f/2G ED VR II
露出モード 絞り優先オート
絞り F2
露光時間 1/320s
ISO感度 ISO400
露出補正 0
測光モード マルチパターン測光
焦点距離 200mm
AFモード AF-C シングルエリアフォーカス
VR ON
ピクチャーコントロール ビビッド
三脚 手持ち

機種 D4 「AF-S NIKKOR 200mm f/2G ED VR II」

絞り 開放 F2.0

同じ場所からもう一発。
すんばらしいレンズだ。

普段ここではニーニーの試写は、頑丈な台座に据え付けられたものでしかさせてもらえないのだが、今回はガラスケースの中に入っている試写レンズで手持ち撮影できたのはラッキーだった。

同じ条件で、自由に構図を変えて撮影する事が出来た。
レンズ AF-S NIKKOR 200mm f/2G ED VR II
露出モード 絞り優先オート
絞り F2
露光時間 1/320s
ISO感度 ISO400
露出補正 0
測光モード マルチパターン測光
焦点距離 200mm
AFモード AF-C シングルエリアフォーカス
VR ON
ピクチャーコントロール ビビッド
三脚 手持ち

機種 D4 「AF-S NIKKOR 200mm f/2G ED VR II」

絞り 開放 F2.0

「ニーニー」のサイズはサンニッパとほぼ変わらず、重さは約3KG。こういうレンズを重量級レンズという。メーカー希望小売価格は約90万円。はっきり言って、「ニーニー」が良いのは当たり前なのだ。そう考えると「AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8G ED VR II」の200mm域はメチャクチャ善戦しているレンズだと断言できる。

70〜135mm域での最短撮影距離の長さや、また最短撮影距離付近での焦点距離に対する「違和感」も感じたが、ニーニーの約1/3の値段で、重量やサイズも許容範囲内で取り回しもよい。総合力でいえば「AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8G ED VR II」のほうが使い勝手がよく、かなりお買い得感がある。

買うんだったら「ニーニー中古」か「AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8G ED VR II」にすべきか。結構真剣に妄想していたりするのだ。
レンズ AF-S NIKKOR 200mm f/2G ED VR II
露出モード 絞り優先オート
絞り F2
露光時間 1/200s
ISO感度 ISO400
露出補正 0
測光モード マルチパターン測光
焦点距離 200mm
AFモード AF-C シングルエリアフォーカス
VR ON
ピクチャーコントロール ビビッド
三脚 手持ち

TOP