絞り値の使用頻度考察
AF-S NIKKOR 58mm f/1.4G

ある任意の被写体を撮影する時に最も大切な設定として挙げられるのは、焦点距離と絞り値なのは説明するまでもないことだが、その写真の表情をがらりと変えてしまう大切な絞り値を、「何となく」選んでしまっている方がいらっしゃるかもしれない。(ズームであれば焦点距離も)。また、ボクはシチュエーションによって焦点距離にあった立ち位置まで移動し、自分の意図に合わせた絞り値を都度選択して撮影しているつもりだが、今まで撮った全ての写真に対してそれら全ての設定値を頭の中に記憶することは不可能だ。

折角写真を撮っているのであれば、今撮っている写真から次につながるような「何か」を得たいと思うが、
Exif情報はその時の自分がどんな設定でシャッターを切ったのか、その結果どんな写真になったのかを教えてくれる非常に重要な情報となってくれる。しかしながら過去に撮り溜めてきたExifデータの量はあまりにも膨大すぎるため、Exifを取りまとめする事もかなわずPCの中に死蔵されることになるが、それでは非常に勿体ないと思う。そこで役立つのがLightroomのフィルタリング機能で、過去に撮り溜めた膨大なExifデータを一瞬で整理・抽出・検証できるようになっており、それを使わない手はないと思うのはボクだけでは無いハズだ。

シャッターボタンを押せば写真は写るので、いちいち撮影データを参照せずとも写真は撮れるようになっているが、自分がどのレンズをどのような設定で、その設定で何を撮ってきたのか「見える可して知っておく」事は、に撮影するとき何かに影響するはずなんだ。Lightroomをお使いであれば、RAW現像ソフトだけでなく集計ソフトとしても是非ご活用いただければと思うんだ。


最新型標準Nikkorレンズ「 5814G」

2015年 AF-S NIKKOR 58mm f/1.4G 絞り値実績

5814Gと言えばノクトの再来とまで言われる点光源再現性に特化した夜景スペシャルレンズとされるが、実際に使えばオールドなノクトをおそらくブッチギリに上回った描写をする正真正銘の「新型」単焦点レンズである。夜景描写に特化しているからと言って夜景専用レンズかと言うとそんなことは全くなく、近接撮影時では85mm単焦点と見紛うような美しいボケ味を持ち合わせ、58mmと言う標準域の焦点距離によって足で稼げばポートレート・スナップ・風景・夜景などなど何でも撮れるオールマイティレンズなのだ。

そして上記が実際の5814Gにおける各絞り値の使用頻度を集計したものだ。2414Gや3514Gと同様、ボクは絞り値のキリ番を選択することが多いので、F1.4, F2, F2.8, F4, F5.6と絞りのキリ番でピョコピョコと使用頻度が高くなっている・・・と思いきや、意外にも5814Gで最も多用している絞り値はF3.5であり、その次にF2.8、F4と続く。ボクは5814Gの開放について語ることも多いので、さぞかし開放での撮影頻度は多いのだろうと想像されていた方もいらっしゃるかもしれないが、実は開放での撮影枚数は少なくて、F5.6やF8よりもさらに少なかったりする。

これはどういう事かというと、ボクが辿り着いた5814Gの立ち位置は「ニコンが新たに提唱する次世代標準レンズ」というものであり、極めて標準的な使い方をすることが多いからだ。ここで一口に標準的な使い方といっても非常に漠然としているが、今目の前にあるものを素直に撮るという意味では非常に3514Gに近い扱い方をしている。しかし、得られる画角は3514Gとは全く異なるものであり、50mmレンズに少し望遠ぽさを足し合わせたようである。5814Gを扱う際には美しいボケ味も楽しみたいことがあるので、F4だとちょっと絞り過ぎと判断し、F3.5程度を多く用いていると推察される。以下は、各絞り値のシチュエーションを挙げたものである。


AF-S NIKKOR 58mm f/1.4G
絞り開放F1.4
機種 D4 ボクがこのレンズで絞り開放で撮影しているのはどういう時か抽出してみると、主たる被写体は人物だ。現代版ノクトとされる圧倒的な夜景性能を持ち合わせたレンズなので、夜景でF1.4は使わないの?と言われるかもしれないが、ボクは夜景撮影時は三脚を用いるので5814Gのフルパワーを引き出せるF4〜F5.6程度で夜景撮影をしているからF1.4は使っていないのだ。

そしてこれが実際に5814GのF1.4を用いた作例だが、このようにF1.4を活かした圧倒的なボケ味を楽しみたいときにF1.4を使っている。この作例では背景に光点を配置して独特のレモンボケを愉しんでいる。また、少し離れた立ち位置で敢えて絞り開放にして独特の味わいを楽しむなど、いろいろなシーンで絞り開放を利用している。

折角のF1.4。使わなきゃ勿体ないが、撮影難易度は非常に高く、「何となくシャッター切っときゃカメラが勝手にピント合わせてくれるんでしょ?」というようなものでは全くない
レンズ AF-S NIKKOR 58mm f/1.4G
露出モード 絞り優先オート
絞り F1.4
露光時間 1/125s
ISO感度 ISO400
露出補正 0
測光モード マルチパターン測光
焦点距離 58mm
AFモード AF-C シングルエリアフォーカス
三脚 手持ち


AF-S NIKKOR 58mm f/1.4G
絞り値F2前後
機種 D4 このレンズで絞りF2前後で撮影しているのはどういう時か抽出してみると、主たる被写体は人物である。F1.4との使い分けだが、やはり58mmのF1.4だとあまりにもボケすぎるしピントも合わないので、軽く一段絞って使う事も多い。

この作例では少し離れた立ち位置で敢えて開放から2/3段絞っただけのF1.8として、5814Gの独特なボケ味を楽しんだカット。この雰囲気は、2414Gは言わずもがな3514Gでも出すことはできず、58mmという絶妙な焦点距離を持った5814Gだからこそ出せるものである。

2/3段絞ったF1.8と言えどもピントは依然として「ごくうす」なので、あるを尽くしてピントを合わせよう。
レンズ AF-S NIKKOR 58mm f/1.4G
露出モード 絞り優先オート
絞り F1.8
露光時間 1/1600s
ISO感度 ISO200
露出補正 0
測光モード マルチパターン測光
焦点距離 58mm
AFモード AF-C シングルエリアフォーカス
三脚 手持ち


AF-S NIKKOR 58mm f/1.4G
絞り値F2.8前後
機種 D4 このレンズで絞りF2.8前後で撮影しているのはどういう時か抽出してみると、3514G同様主たる被写体はありとあらゆる全てとなってくる。人物・小物・大物・風景・夜景・スナップ等々が挙げられる。この辺りは何でも撮れる58mmの真骨頂と言えるものだ。

作例はリゾートホテルの一角を切り撮ったものだが、左奥に連続して続くような構図を作って切り撮った。F5.6やF8とかに絞ってしまうと、ボクがこの時に求めたイメージ的にはちょっと絞り過ぎであり、軽く2段絞ったF2.8を選択している。
レンズ AF-S NIKKOR 58mm f/1.4G
露出モード 絞り優先オート
絞り F2.8
露光時間 1/3s
ISO感度 ISO200
露出補正 0
測光モード マルチパターン測光
焦点距離 58mm
AFモード LVモード 拡大鏡マニュアルフォーカス
三脚 三脚・レリーズケーブル・ミラーアップ


AF-S NIKKOR 58mm f/1.4G
絞り値F4前後〜F5.6前後
機種 D4 このレンズで絞りF4前後〜F5.6前後を使って撮影しているのはどういう時か抽出してみると、3514Gと同様ありとあらゆる全てが主たる被写体となる。人物・小物・大物・風景・夜景・スナップ等々が挙げられるが、特に夜景・風景が増えてくる。

この作例は、レオナルド・ディカプリオの映画「ザ・ビーチ」で有名になったピピ島の一角だが、5814Gは中遠景は鬼のような高解像レンズに豹変する特性を持ち合わせており、F2.8ですでに圧巻なのに開放から4段絞ったF5.6では、絶バキバキビキビキパリパリ描写を誇るようになる。本作例では画像をクリックしていただくと大画像が参照できるようになっているので、興味のある方は参照願いたい。
5814Gは描写が緩いなどとおっしゃる方がいらっしゃるが、それは近接開放付近のみでの話であり、中遠景での特性を理解したうえで5814Gを扱うと、5814Gはもっと面白くなる。なお、ポートレートの距離感でもF4〜F5.6でもバキバキレンズに豹変するので興味のある方は試してみて頂きたく。
レンズ AF-S NIKKOR 58mm f/1.4G
露出モード 絞り優先オート
絞り F5.6
露光時間 1/250s
ISO感度 ISO100
露出補正 -0.3
測光モード マルチパターン測光
焦点距離 58mm
AFモード AF-C シングルエリアフォーカス
三脚 手持ち


AF-S NIKKOR 58mm f/1.4G
絞り値F8前後〜F11前後
機種 D4 ボクがこのレンズで絞りF8前後〜F11前後を選択するのはどういう時か抽出してみると、主たる被写体は風景・夜景となってくる。

ただでさえ凄いレンズをF8〜F11程度まで絞れば凄いのは当たり前なので詳細は割愛する。
レンズ AF-S NIKKOR 58mm f/1.4G
露出モード 絞り優先オート
絞り F11
露光時間 1/125s
ISO感度 ISO125
露出補正 -0.3
測光モード マルチパターン測光
焦点距離 58mm
AFモード AF-C シングルエリアフォーカス
三脚 手持ち


以上が5814Gにおける各絞り値の使用頻度と、各絞り値における被写体の傾向であるが、5814GはF4を中心とした山となっていることが特徴で、実質的にはF3.5が最も多い。また、全体的にみても様々な絞り値で撮影しているのが見受けられるが、5814Gは全絞り値が美味しいところということの証左である。

5814GはナノクリF1.4Gシリーズの中でもクセ玉であり、近接開放ではゆるゆるの描写、時に色収差が派手に発生するなどして5814Gのある側面だけを見て手放してしまう方がいらっしゃるが、それは本当にもったいない見落としをされていると感じる。
そもそも5814GはナノクリF1.4Gのシリーズの中でも最も奥の深い一本だと感じる。ボクは5814Gが登場した直後にこれを入手し一般的な方々よりも数多くのシチュエーションで用いてきたつもりだが、ニコンが提唱する「三次元的ハイファイ」はどのようなものなのか探求すべく、日々これを持ち出しているんだ。このレンズは、浅くない


8514D 絞り値考察

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