絞り値の使用頻度考察
AF-S NIKKOR 35mm f/1.4G

先のコラムでは2414Gの各絞り値使用頻度と、各絞り値を使用するシチュエーションだったが今回はボクが最も持ち出し頻度・使用頻度が高い3514Gについてまとめたデータをご紹介させて頂きたい。

3514Gは2414Gと、焦点距離としては11mmしか違わないが、ファインダーを覗いてみると24mmと35mmでは見える世界が全く異なっていることが分かる。最近では12mmとか14mmとかの超広角レンズがラインアップされているので24mmと聞くと大した広角レンズには思えないかもしれないが、24mmは純然たる広角レンズだ。それに対して35mmは広角レンズに分類されるが、準広角と言えるもので、見た目に自然な画角が心地よい。よく50mmが標準レンズと言われるし、その点については一切の異論はないのだがどちらかと言うと50mmは少し望遠ぽい印象を受けるので、「見た目に自然なレンズを標準とする」ならば、35mmは標準レンズとして取り扱ってもいいくらいだと思う。


記録係としても活躍するレンズ「 3514G」

2015年 AF-S NIKKOR 35mm f/1.4G 絞り値実績

そしてこれが実際に3514Gにおける各絞り値の使用頻度を集計したものだ。2414G同様、ボクは絞り値のキリ番を選択することが多いので、F1.4, F2, F2.8, F4, F5.6と絞りのキリ番でピョコピョコと使用頻度が高くなっている。注目なのは、2414Gと3514Gは焦点距離としては隣同士のレンズなのに各絞り値の使用傾向はあまりにも異なっているのが面白い。2414Gではあれほど開放F1.4の使用頻度が多かったのに、3514Gになると開放での割合はガクッと減り、その代わりにF4での絞り値が山となっている。

これは何故かと言うと、2414Gを使うときは気合を入れた「チャレンジ」として使う事が多いのに対し、3514Gを使うときは、自然な画角がゆえに「今目の前にあるものを記録する」目的で出動させることがとても多いからだ。
これはどういう事かと言うと、目の前にあるものを記録しようとしたとき、カミソリのような薄さのピント面以外ボッケボケでは、後に見返した時に何が何だか分からなくなる。ちょい望遠っぽい58mmや、中望遠85mmでは同じ絞り値でもボケ過ぎてしまう。逆に24mmのような広角レンズは背景に余計なものが写り込みやすく、画面の整理に苦労する。そういった意味で35mmは程良い画角と程良い被写界深度を持ち、少し絞りを入れてやるだけで周囲の情報を見たまま写す事が出来るようになる。以上のような理由から、3514Gでは少し絞ったくらいの絞り値の使用頻度が高くなっているのだ。

突出してF4が多いのは、砕けて言うとボクは3514GのF4の描写が好きだからだ。特に3514Gで絞りF4の近接撮影では、「これはマクロレンズか?」と見紛うほどのマジバリカリビキバキに瞳が解像しまくるレンズであり、この解像感が気持ちよすぎてF4を多用している。

以上のように、同じF1.4Gシリーズの2414Gと3514Gではボクの中で使用用途が異なる、完璧に使い分け可能な組合せとなっているのだ。

AF-S NIKKOR 35mm f/1.4G
絞り開放F1.4
機種 D4 ボクがこのレンズで絞り開放で撮影しているのはどういう時か抽出してみると、主たる被写体は人物だ。任意に圧倒的なボケ味が欲しい時にF1.4を使うほか、暗闇での撮影、暗い店内でのスナップ、少し離れた立ち位置で敢えて絞り開放にして独特の味わいを楽しむなど、いろいろなシーンで絞り開放を利用している。

作例は真っ暗なビーチで、ほぼろうそく明かりしかないようなシチュエーションだが、3514Gが持つF1.4の明るさ、D4の高感度耐性や暗闇でここまでピントを追い込める性能、PCでのRAW後処理などを駆使することによって、ここまでの写真を仕上げる事が出来る。F2.8レンズではシャッター速度を落とすか、ISO感度を上げる必要があり、F1.4の明るさには価値がある。
レンズ AF-S NIKKOR 35mm f/1.4G
露出モード 絞り優先オート
絞り F1.4
露光時間 1/40s
ISO感度 ISO2200
露出補正 0
測光モード マルチパターン測光
焦点距離 35mm
AFモード AF-C シングルエリアフォーカス
三脚 手持ち


AF-S NIKKOR 35mm f/1.4G
絞り値F2
機種 D4 このレンズで絞りF2前後で撮影しているのはどういう時か抽出してみると、主たる被写体は人物・ボケ味を活かした小物撮り・薄暗い場所やレストラン内でのスナップが挙げられる。

F1.4とF2のすみ分けだがF1.4よりもF2のほうがピント面がキリッとする。よって、ピント面にもう少し解像感が欲しい時や、その他背景の光点ボケの口径食を少し抑えたい時などなどが挙げられる。
やはりF1.4とF2の一段差は大きく、F1.4だとやりすぎなシチュエーションはあるし、逆にF2ではまだ足りない時があるのだ。

作例は強烈逆光下でのF2の作例。F2と一段絞ることによって、ピントを合わせた顔の輪郭で光るうぶ毛をキリリと引き締めている。それにしても、直逆光下でもピントを合わせてしまうD4のAF精度ってどんだけすごいんじゃ!って思う。
レンズ AF-S NIKKOR 35mm f/1.4G
露出モード 絞り優先オート
絞り F2
露光時間 1/4000s
ISO感度 ISO200
露出補正 +0.7
測光モード マルチパターン測光
焦点距離 35mm
AFモード AF-C シングルエリアフォーカス
三脚 手持ち


AF-S NIKKOR 35mm f/1.4G
絞り値F2.8前後
機種 D4 このレンズで絞りF2.8前後で撮影しているのはどういう時か抽出してみると、主たる被写体はありとあらゆる全てとなってくる。人物・小物・大物・風景・夜景・スナップ等々が挙げられる。この辺りは何でも撮れる35mmの真骨頂と言えるものだ。

日常スナップや小物撮りが特に多く、作例のような朝食メニューをなんだかすごく美味しそうに写せてしまう3514Gの描写力は流石。iPhoneといったスマホで撮ればFBやLINEといったSNSにその場で気軽に写真をアップできるかもしれないが、ここまでおいしそうに撮ることはできない。人様に見せる写真は、たとえ日常スナップでもひと手間かけてからアップしたいとボクは思う。
レンズ AF-S NIKKOR 35mm f/1.4G
露出モード 絞り優先オート
絞り F2.8
露光時間 1/125s
ISO感度 ISO200
露出補正 0
測光モード マルチパターン測光
焦点距離 35mm
AFモード AF-C シングルエリアフォーカス
三脚 手持ち


AF-S NIKKOR 35mm f/1.4G
絞り値F4前後〜F5.6前後
機種 D4 このレンズで絞りF4前後〜F5.6前後を使って撮影しているのはどういう時か抽出してみると、F2.8と同様ありとあらゆる全てが主たる被写体となる。人物・小物・大物・風景・夜景・スナップ等々が挙げられる。
この「何でも撮れる」35mmの特性こそが、3514Gが最も使用頻度の高いレンズになっている理由である。

添付は3514Gによる夜景作例だが、全域に渡って一切手抜きのない超絶描写を誇っていることが分かる。サジタルコマフレアの抑制に関して言うと2414G以上かつ、5814Gと同等である。
画像をクリックしていただくと、大画面が表示されるようになっているので、画面の隅の隅の隅の隅にある点の一粒まで精査頂き、3514Gの圧倒的破壊力を精査して頂ければと思う。

また、近接撮影で3514GをF4程度まで絞るとマクロレンズと見紛うほどのビキビキバキバキのカリカリ超高解像レンズに豹変するので試してみよう。
レンズ AF-S NIKKOR 35mm f/1.4G
露出モード 絞り優先オート
絞り F5.6
露光時間 3s
ISO感度 ISO200
露出補正 +1.0
測光モード マルチパターン測光
焦点距離 35mm
AFモード LVモード 拡大鏡マニュアルフォーカス
三脚 小型三脚


AF-S NIKKOR 35mm f/1.4G
絞り値F8前後〜F11前後
機種 D4 ボクがこのレンズで絞りF8前後〜F11前後を選択するのはどういう時か抽出してみると、主たる被写体は風景・夜景となってくる。

ただでさえ凄いレンズをF8〜F11程度まで絞れば凄いのは当たり前なので詳細は割愛する。
レンズ AF-S NIKKOR 35mm f/1.4G
露出モード 絞り優先オート
絞り F11
露光時間 1/400s
ISO感度 ISO100
露出補正 -0.3
測光モード マルチパターン測光
焦点距離 35mm
AFモード AF-C シングルエリアフォーカス
三脚 手持ち


以上が3514Gにおける各絞り値の使用頻度と、各絞り値における被写体の傾向であるが、3514GはF4を中心とした山となっていることが特徴だ。これは3514Gは非常にオールマイティーな画角を持つレンズがゆえに被写体も何でもあり状態であり、結果的に周囲の状況を伝える事の出来るF4±1段程度の絞り値を多用することになる。

何でも撮れるがゆえにネット上の作例もスナップ的なものが多く、結果的に大人しいとかクセが無いなどと評されてしまう事が多いレンズだが、このレンズの事を過小評価すべきではない。オールマイティーな利便性を持ちつつ、本気を出せば2414Gや5814Gに匹敵する、ものすごい実力を発揮するレンズなのだ。


5814G 絞り値考察

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