AF-S VR Micro-Nikkor 105mm f/2.8G IF-ED
玉ボケ検証

人それぞれレンズに求める形質は違うと思うのだが、ボクは子供たちを撮影する際は、背景に出現する「玉ボケ」を非常に重要視している。ボクが玉ボケを重視していることは過去の作例を参照して頂ければ分かると思うが、美しい玉ボケと言えばF1.4シリーズの単焦点レンズが最も美しい玉ボケを持つレンズとして確固たる地位を築き上げている事に対して異論を挟む方はここでは少ないと思われる。ボクが所有するレンズで玉ボケが美しいレンズは「3514G」、「5814G」、「8514D」であり、そのスィートスポットはF2.2〜F4程度。例外的に「2414G」などは開放に近づけば近づくほど玉ボケが真円に近づく面白いレンズだ。

高級レンズ大三元の一角を占める「70-200mmF2.8G VRII」については135mm域、180mm域、そして200mm域などで撮影するとズームとは思えないような美しいボケ方を見せてくれるレンズだが、こと光点の玉ボケに関して言えば開放のF2.8ではもちろん玉ボケなくて、玉ボケが欲しいと思ったらF4〜F5.6に絞って撮影する必要がある。

とにかく、ボケと玉ボケに関してはF1.4単焦点レンズがぶっちぎりで美しい。特に8514Dの美しいボケたるや、マニア垂涎のボケと言っても過言ではないだろう。

そして今回玉ボケのテストをするのはボクが最近購入したマイクロレンズ、「AF-S VR Micro-Nikkor 105mm f/2.8G IF-ED」である。以前ボクが所有していたDタイプマイクロレンズは、ボケが非常に汚いレンズでポートレートに使おうなんて思ったことはほぼ無かったのだが、今回のGタイプマイクロレンズはマクロとは思えないような美しいボケ方をしてくれるので、マクロレンズとしてだけではなく、ポートレート用途としても期待して購入したものなのだ。そして、ポートレート用途としてそのレンズを扱うのであれば、絞りによって玉ボケの形状がどのように変化するのか見ておくのは、ボクにとって非常に重要な事なんだ。


機種 D4 「AF-S VR Micro-Nikkor 105mm f/2.8G IF-ED」

絞り 開放 F3

距離感的には王道ポートレート構図としている。

実際は絞り開放だが、マクロの近距離なので絞りの表示はF3となっている。3514G, 5814G, 8514DなどのF1.4珠玉レンズの場合はF2.8まで絞れば完全なる玉ボケ領域に突入するが、本レンズは開放では口径食がでてレモン型になる。

開放でレモン型になるのは普通の事であり、2414Gを除くF1.4レンズも開放ではレモンとなる。大きく違うのはその絞り値。F1.4でレモンなのと、F2.8でレモンでは実用上は非常に大きな差がある。
レンズ AF-S VR Micro-Nikkor 105mm f/2.8G IF-ED
露出モード 絞り優先オート
絞り F3 (開放)
露光時間 1/250s
ISO感度 ISO360 (自動制御 やや高速)
露出補正 0
測光モード マルチパターン測光
焦点距離 105mm
AFモード AF-C シングルエリアフォーカス
VR ON
三脚 手持ち

機種 D4 「AF-S VR Micro-Nikkor 105mm f/2.8G IF-ED」

絞り F4

開放から一段絞って絞りをF4とする。ボクの予想では一段絞れば玉ボケてくれると考えていたのだが、甘かった。思いのほか口径食が残っており玉ボケてくれない

ただし、玉ボケ以外はとても素晴らしい形質を有しており、玉ボケを狙わないシチュエーションでは一段絞ったF4あたりがスィートスポットとなるだろう。
レンズ AF-S VR Micro-Nikkor 105mm f/2.8G IF-ED
露出モード 絞り優先オート
絞り F4
露光時間 1/250s
ISO感度 ISO560 (自動制御 やや高速)
露出補正 0
測光モード マルチパターン測光
焦点距離 105mm
AFモード AF-C シングルエリアフォーカス
VR ON
三脚 手持ち

機種 D4 「AF-S VR Micro-Nikkor 105mm f/2.8G IF-ED」

絞り F5.6

さらにもう一段絞ったF5.6にすると流石に玉ボケているが、画像隅ではまだ絞り足りない。F5.6でこの玉ボケ具合では、ポートレートにおいて背景の玉ボケを楽しむのは少し厳しいと感じた。

その他の点については流石はマイクロレンズ。ピントを合わせた瞳の部分はビッキビキのパッキパキに解像しまくり。「解像力だと・・・?解像力だったら70-200mmF2.8G VRIIがあるじゃないか!」と言われるかもしれないが、あれは接近戦を苦手とするレンズだ。しかしながら、このマイクロレンズはいわずもがな接近戦を最も得意とするレンズという事を忘れてはならない。本気を出せば、瞳だけを等倍に写しきることすら可能。かぶっているのは105mmという焦点距離だけでその使い勝手は大きく異なる。
レンズ AF-S VR Micro-Nikkor 105mm f/2.8G IF-ED
露出モード 絞り優先オート
絞り F5.6
露光時間 1/250s
ISO感度 ISO1400 (自動制御 やや高速)
露出補正 0
測光モード マルチパターン測光
焦点距離 105mm
AFモード AF-C シングルエリアフォーカス
VR ON
三脚 手持ち

機種 D4 「AF-S VR Micro-Nikkor 105mm f/2.8G IF-ED」

絞り F8

絞りをF8にすると、画面端の光点がほぼ全て円になってくれたが、玉ボケの大きさが小さくなり、もちろんボケ量も小さくなってしまう。F8以上に絞り込む場合は、背後の雰囲気が良い場所を選ぶ必要が出てくるため撮影難易度としては高くなる。
レンズ AF-S VR Micro-Nikkor 105mm f/2.8G IF-ED
露出モード 絞り優先オート
絞り F8
露光時間 1/250s
ISO感度 ISO2800 (自動制御 やや高速)
露出補正 0
測光モード マルチパターン測光
焦点距離 105mm
AFモード AF-C シングルエリアフォーカス
VR ON
三脚 手持ち

以上の結果を慮ると、ボクが考えていた以上にポートレートでは玉ボケを作るのがつらいレンズであり、玉ボケを作りたかったら最低でもF5.6以上に絞る必要がある。しかしながらもちろんレンズは玉ボケだけが全てではなく、必要に応じて、またはその時の気分に応じて開放で撮影したり絞り込んで撮影したりするのが普通であり一眼の奥の深さだ。
また、このレンズはマイクロレンズであるからして、被写体に思いっきり寄れる。そして被写体に寄れば寄るほど背景が大きくボケるので、昆虫や花を撮影したときにどのような玉ボケを見せてくれるのかも注目だろう。

いずれにせよ、ポートレートで玉ボケが欲しいと思ったら所有するF1.4シリーズをいつものように扱えばよいだけであり、105mmF2.8G VRが玉ボケにくいからと言って困ることはあまりないだろう。それよりも105mmの焦点距離や、マイクロレンズという特性を活かしながら撮影できればこのレンズを購入した甲斐があるってものだ。

なお、極めて個人的な感想ではポートレートとしては「70-200mmF2.8G VRII」よりも「105mmF2.8G VR」のほうが断然扱いやすいと感じた。その理由は寄れることと、重たくないことだ。

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