高感度の使用頻度から
D5を考えてみる

D5が発表されたときに驚かされたトピックの一つとして、2016年現時点でド級とも言える超高感度だろう。具体的には(常用)ISO感度ISO 102400に対し約5段(ISO 3280000相当)までの増感が可能だという。ISO3280000という数字を見たとき、一桁間違えているんじゃないかって思わず二度見してしまったが、ISO32万8千ではなく、ISO328万である。フィルムを使っていた時代はISO100かISO50が標準で、ISO800はすでに十分高感度域だったので、フィルム時代と比べるとISO3280000とはこれは途方もない高感度である。



「未知なる光を、補足せよ。」

これがD5とともに発表されたキャッチフレーズだが、このキャッチフレーズからも常用感度をISO102400(10万2400)としていることからも、D5は高感度耐性に対して相当な自信があるものだと推察できる。ボクが期待していたAFエリアの拡大が思ったほど拡大されていないことが分かった今、D5に乗り換えるための動機を探しているところなのだが、今回はボクの高感度使用頻度からD5という新型ボディを考察してみたいと思う。


幸いにしてLightroomにはメタデータから簡単にデータを集計できるようになっているから、撮影データの集計は数クリックの一瞬で終わる。2015年度の撮影実績からISO感度毎の撮影実績を拾ってみたのが以下の結果となる。

ISO 撮影枚数 比率
ISO100 920 13.9%
ISO110 17 0.3%
ISO125 20 0.3%
ISO140 23 0.3%
ISO160 25 0.4%
ISO180 16 0.2%
ISO200 2214 33.4%
ISO220 68 1.0%
ISO250 75 1.1%
ISO280 65 1.0%
ISO320 93 1.4%
ISO360 93 1.4%
ISO400 622 9.4%
ISO450 124 1.9%
ISO500 123 1.9%
ISO560 96 1.4%
ISO640 109 1.6%
ISO720 149 2.2%
ISO800 321 4.8%
ISO900 127 1.9%
ISO1000 132 2.0%
ISO1100 98 1.5%
ISO1250 114 1.7%
ISO1400 75 1.1%
ISO1600 143 2.2%
ISO1800 86 1.3%
ISO2000 95 1.4%
ISO2200 44 0.7%
ISO2500 103 1.6%
ISO2800 37 0.6%
ISO3200 52 0.8%
ISO3600 37 0.6%
ISO4000 37 0.6%
ISO4500 26 0.4%
ISO5000 28 0.4%
ISO5600 27 0.4%
ISO6400 30 0.5%
ISO7200 24 0.4%
ISO8000 21 0.3%
ISO9000 17 0.3%
ISO10000 22 0.3%
ISO11400 10 0.2%
ISO12800 72 1.1%

これでは分かりにくいので、ISO100から1段区切りでグラフ化したのが以下である。

2015年 ISO感度と撮影枚数

この結果を見ると、ぶっちぎりに利用しているISO感度帯はISO200前後であり、ISO100〜360までで約45%を占めている。特にISO200での撮影頻度が最も多くISO200単体だけで全体の33.4%も占めているがこれには理由がある。それはブレに非常にシビアなデジタル一眼において、ISO100では感度が低くシャッター速度が遅くなりすぎて、主たる被写体である子供の被写体ブレを防げないことが多いからだ。ISO100の1/25sとISO200の1/50sは歴然たる差があるのは当然だが、1/250sと1/500sの違いでも動き回る子供のシャープ感は変わってくる。よって、低感度帯でも少しでも早いシャッター速度を切りたい子供撮影では、ISO200は非常に有用なのだ。
夜景撮影時でもISO100とISO200の差は大変大きく、シャッター速度がISO200で10秒になるのか、ISO100で20秒になるのか、さらに長秒ノイズリダクションをかけるので一回の撮影に20秒かかるのか、40秒かかってしまうのかの差が出てくる。日没時・朝焼け時の撮影ではものの数十秒で全く表情を変えてくるので、この差はとてつもなく大きい。かといってISO400は夜景・朝焼け撮影にとって高感度過ぎる。
また、かのD3がISO200始まりだったことを考えると、フィルムと違ってデジタルのセンサーはISO200が実は最もバランスが取れているISO感度帯なんじゃないかって推測している事もISO200を多用している理由だ。

次に高感度帯に目をやると、どんどんその割合を落として行き、ISO6400以上のカットは全体の3%にしか過ぎなくなる。体感的にも高感度撮影はしていないつもりだったが、実際にデータとしてその通りの結果となった。これはもともとボクがF1.4といった明るいレンズを使用していたり、暗闇では三脚を使う事にしているので、高感度域での撮影はどうしても少なくなってしまうのだ。
ちなみに、実際にISO12800で撮影した画像を抽出してみたのが以下の画像となるが、やはり暗闇でスピードを出さなければならないシチュエーションが多数を占めており、何も言われなければ「こっ、これでISO12800なの!?」と思わせてくれる高感度画質は流石D4である。



機種 D4 ISO12800

大三元70-200F2.8Gの絞り開放の全域に渡る高解像度も凄いが、ISO12800とはとても思えない圧倒的な高画質がそれを支える。

D4のRAWは非常にRAW現像耐性が高いRAWだ。たとえば暗闇だと思っていた背景から、下記画像のようにいくらでもディティールを「あぶりだす」ことが可能だ。


このように、少し前の時代では絶対に諦めるしかなかったことが、すばらしいカメラとレンズ、そしてソフトウェアによる後処理によって簡単に表現できるようになった。
レンズ AF-S NIKKOR
70-200mm f/2.8G ED VR II
露出モード 絞り優先オート
絞り F2.8
露光時間 1/320s
ISO感度 ISO12800
露出補正 -0.3
測光モード マルチパターン測光
焦点距離 135mm
AFモード AF-C シングルエリアフォーカス
VR ON
三脚 手持ち

それにしても、ISO6400以上の高感度域での撮影頻度としては全体の3%にしか過ぎないため、ISO328万まで拡張できるD5の高感度帯は必要か?と問われるとちょっと必要ないだろうというのが率直なところで、それは集計データからも示されている。

しかしながら、もしいつか日本に帰れたときには豊富なF1.4レンズの資産を活かして星空の撮影などにも挑戦してみたいと思っており、赤動義などを使わずに気軽に天の川を捉える事が出来るようになれば、やはりD5の鬼のような高感度特性が活躍してくれるかもしれない。例えば、赤動義を使うと地面が流れてしまうが、D5の超高感度で撮影すれば赤動義を使わずとも星空と地面の両方をきっちり撮れるかもしれない。

うーん・・・。でもそれは将来的に必要になるかもしれないというだけであってのボクには不要なので、高感度が得意という事だけでは初値67万を追っかけるほどの動機付けとはなることはなさそうだ。やはりボクが一気呵成にD5に行くためには、AFセンサーの超絶的な拡大が欲しかった・・・と改めて思うんだ。


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