D4S



写真を趣味にしているのであれば、写真を撮影する事だけではなく、新しい機種の発表・発売は注目すべき大きなイベントの一つだと思う。そしてそれがもし、各社を代表するフラッグシップモデルであったとするならば、一大イベントとなる。こういった話は何もカメラだけの話ではなく、クルマでもバイクでもバラでも、多分オーディオなどの世界でも趣味の世界だったら同じようなことが言えるだろう。そんな中、ニコンから満を持してフラッグシップモデルD一桁シリーズの最新機種、「D4S」が2014年3月に発売された事は、今更ボクがここで説明するまでも無く、本ホームページを訪れて下さっている方であれば既にご存じの事であろう。
D一桁シリーズはD3が2007年11月、D3Sが2009年11月、D4が2012年3月と、ほぼ2年毎にフルモデルチェンジもしくはマイナーチェンジを繰り返してきているので、D4発売から丁度2年経った2014年3月にD4のマイナーチェンジモデルD4Sが発売されたのは極めて順当であり、ニコン好きならば誰しもが想定していたことである。
とは言っても55万円オーバーもの大金を叩いてD4を購入し、それを使っている身としては、覚悟をしていたとはいえ、やはり寂しいものだ。そんなD4Sの中身の事は、実機で撮影しない限り何も分からないのだが、ニコンのホームページから抜粋したD4Sの謳い文句をボクの視点で検証してみたいと思う。

<進化したAF性能>
ボクが撮影してきた過去の作例を見て頂ければ一目瞭然な事であるが、基本的に鳥・飛行機・電車・モータースポーツ等のような動きものはあまり撮らないので、D4のAF性能で必要十分である。
各種AFモードのうち、体感的な使用頻度はAF-Cシングルエリアフォーカスが70%、AF-Sシングルエリアフォーカスが20%、LVモード拡大鏡マニュアルフォーカスが10%という内訳で、グループエリアやマルチエリアのフォーカスモードは全くと言っていいほど使っていない
これはひとえにボクの主たるテーマがポートレートであり、f/1.4クラスの大口径レンズで至近距離から被写体の瞳、さらにその中に写る自分自身にピントを合わせることを目標としているので、結局のところAF-Cのシングルか、マニュアルフォーカスになるのだ。
ちなみに何故AF-Sをあまり使わないかと言うと、シャッターを切る瞬間に被写体や自分自身が僅かに前後に揺れる事によって微妙なピンずれになる事を防いだり、f/1.4クラスの大口径レンズゆえ、至近距離でフォーカスロックをかけて構図を変えるとコサイン誤差が発生するからである。よって、D4SになってAFが進化したとしても、ボクにとっては「今年のGT-Rは馬力が更にアップしました!」と言われるのと同様、実用上は大差ないと考えている。

<そのまま使える更なる高画質>
ニコンD4Sのホームページからの抜粋として、「D4Sの画像は一見シャープに見えるという次元ではない」、「隅々まで精査してみてください。」といった具合に、その文面の節々にニコンの自信を伺わせる。通常の製品では味気ない製品紹介・特徴を並べるだけに終始する事が多い印象があるのだが、D4Sの紹介ページでは作り手の人間味を感じさせる文章が載っている。このような文章は「58mmf/1.4G」の紹介ページにもあったが、相当な自信が無ければこのような文章にはならないだろう。

<さらに進化したノイズ低減機能>
D4は画素数を抑えた分だけ高感度耐性に優れた機種として有名だが、ボクは例えD4であったとしても高感度側はあまり使っていない。それはボクがD4で撮影してきた過去の撮影データを見て頂いても分かると思う。
勿論D4の高感度耐性は非常に優れていて、いざという時に非常に助かっているし、その最たる利点としてD4の感度自動制御は「安心して使える」機能だ。しかし、高感度耐性がどれだけ優れているとしてもなるべく低感度を使い、レンズ本来の明るさ・および三脚の使用を基本として勝負したいので、高感度耐性は重視していない。

<健康的な肌の質感を再現する正確なホワイトバランス>
ボクがD4Sで最も気になるのはこれ。ここである。D4Sのホームページからの抜粋すると「健康的かつ鮮やかに肌の色を表現」とある。ポートレートが主たる撮影テーマであるボクにとってはここが一番の問題である。
巷では有名な話だが、D4は緑被りする傾向にあるとされている。確かにそうだと思うのだが一方で個人的な見解としては、「D4は周りの色を忠実に再現しすぎている」と考えている。具体的に言うと、周りが芝生などの緑で囲まれたシチュエーションでポートレート撮影をしてモニターで確認すると、確かに肌が緑被りをしている。これは事実なのだが、そもそも緑に囲まれた場所で、肌の色をつぶさに観察してみると、実際の肌そのものが緑がかかっている事が多い。
しかしボクの脳内では都合よく「健康的な肌色だった」と記憶されているので、モニターを見て緑被り気味だと思ってしまう。現実の色と記憶している色は違うのだ。ただし、これはあくまでボクの個人的見解であり、正確な事は分からない。
1つ言える事はポートレートは健康的な肌に写っていた方が良いに決まっているので、D4Sのこの文面は非常に気になる所である。ちなみに、今はどうしているかと言うと、CPNX2によるRAW現像時にマゼンダを加えたりするなどして緑被りを解消している。そのおかげで色の足し算・引き算が以前よりも上達してしまった。とにかく、こればっかりは現像処理された他人のポートレート作例を見ても参考にならず、自分自身で撮ってみるまで答えは見つからないだろう。これはボクにとって、D4Sにおける最大のポイントだ。
D4 AF-S NIKKOR 58mm f/1.4G

RAWをリサイズしてJPGにしたのみ。
マウスポインタを置くと、CPNX2でカラーバランスを使ってマゼンダ+10にした画像が表示される。

どっちが良いかと言うと、マゼンダ+10の方が良いだろう。

<その他>
その他、画素数の据え置きや重さとか色々あるが、あまり大きな問題ではない。
いずれにせよ、「D4Sを買うか買わないか?」という質問の問いには、半年前にD4を55万叩いて購入してすぐにD4Sに買い替えるような真似は倫理上「不可」である。そして、例えD4Sを今買ったとしても、約2年後に「D5」が発表されるであろう事は確実であり、もっと言えば「D5S」がその2年後に発表される。今現時点の計画では「D4S」は見送りであり、画素数アップされるであろう「D5」も見送る予定。ボクが本当に楽しみにしているのは、その「D5」をさらにマイナーチェンジした「D5S」だ。

本気で写真に打ち込む以上、そして日進月歩のデジタル写真という選択をした以上、4年に一度位はボディの更新が必要であろう。ボクはD5Sの登場を今から楽しみにしているんだ。


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