Putrajayaの夜明け -2-

先日、「Putrajayaの夜明け -1-」をご紹介させて頂いたが、この時は「Formula E」のついでだった事もあり撮影に全く集中できていなかった。ただ、長期間に渡って悩まされていた煙害「ヘイズ」がかなり軽減されており、治安についてもKL中心部と比して安全そうな事が分かったのは収穫だった。

この「ヘイズ」「治安」に関しては、夜明け・夜景撮影において無視できない要素である。どんなに高額で高性能なボディ・レンズを取り揃えて撮影に向かったとしても、大気の状態が悪ければ素晴らしい景色を撮影することなんてできないのは当たり前の事だ。
また、どんなに大気の状態がよく、素晴らしいシチュエーションであったとしても、ナタや刀を振り回す強盗が徘徊しているような場所では、カメラ機材とともにまで無くなってしまう(※ここは海外。冗談ではなくて大マジ。)。夜明け前・日没後を中心として、そのような強盗殺人事件は日常的に発生しているのだ。

先日の夜明け前撮影で、治安に関しては何とかなりそうだという感触をつかめ、ヘイズがない事も確認できたので半年以上温めていた「Putrajaya(プトラジャヤ)の夜明け前」撮影作戦を実行に移すことに決めたのである。目的とするカットは「Formula E」の時に交通規制で撮り損ねていた「siri wawasan bridgeから望むMasjid Putraの夜明け」だ。

ところで、ボクは日中に撮影できるようなカットにはほとんど興味がなく、日中の撮影はあくまで構図確認用の下見に過ぎない。ボクが重視しているのは世間一般の方々では撮影できないカット、つまり「日の出直前」「日没直後」と言った撮影条件が厳しい時間帯である。この時間帯はワンカットごとに空の色がドラマチックに変化する素晴らしい瞬間だがしかし、その時間は非常に短く10〜15分で終わってしまう。つまり、例え朝5時半に起床して撮影地に向かったとしても、本命カットを数枚撮るのが精一杯なのだ。それでも、今日こそ撮れるかもしれないたった1枚のために撮影地に向かおうとするこの気持ちは、このホームページを訪れて下さっている方にはご理解いただけるものと思っている。

今回目的とするカットで要求される焦点距離は頭の中に入っており、レンズ交換の手間を考えてレンズは「AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8G ED VR II」1本のみ。そもそも今回目的とするカットは、このレンズを購入した理由の一つなのだ。ボディは相棒「D4」。三脚とレリーズケーブルは必須の装備だろう。そして今回持って行った特別装備は万が一の際に役に立つかもしれない「ゴルフの4番アイアン(護身用)」だ。勢い買ったは良いものの練習場で数回使っただけでお蔵入りしているゼクシオ4番アイアンが、違う用途で役に立たないように祈りつつ、現地に向かったのであった。

日の出は朝6時15分ころから始まる事は分かっているので、自宅を出発したのは朝5時半。約40分程度クルマを走らせて目的の撮影ポイント「siri wawasan bridge」に時間通り到着したまでは良かった。のだが、到着してみると先客のクルマとバイクが停車している。ここは観光スポットなので、夜景を見ようとして停車しているものと思いきや、どうも様子が違う。身の安全のためクルマから下車しないで様子を伺っていると、20〜30人位の若者がたむろしつつバイクの公道レースをしているではないか!バイク集団が爆音を立てつつ猛スピードで去ったと思ったら、周回して戻ってくる
しかも彼らがたむろしている場所こそボクが撮影しようと思っていたポイントであり、暗闇の中、あからさまに高額なカメラ機材を持って彼らに近付くのは非常に危険。いくらゼクシオ4番アイアンを装備していたとしても、20〜30人に取り囲まれたら一発でアウト

そうこうしているうちに東の空からブルーモーメントが始まってしまい、断腸の思いでここでの撮影を断念。急いでバックアッププランに切り替え「アイロンモスク」にクルマを走らせたのであった。既に日の出が始まっているので、大急ぎだった


機種 D4 「AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8G ED VR II」

撮影時間 朝6時33分

大急ぎで路肩に駐車し、階段を駆け上がって撮影したカット「ISTANA KEHAKIMAN」

広角で切り撮りたくなる場所だが、「AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8G ED VR II」しか持っておらず、70mmで無理やり切り撮ったのが吉と出た。日中に下見していたからこそ撮れたカットである。

この描写、驚異の絞り開放
絞り開放にもかかわらず驚くほど周辺までキッチリ写し切っており、「これがズームか!?」と思えるほどの描写力を誇る。ドラマチックな時間帯に、素晴らしい風景。そしてその瞬間を切り撮るレンズは撮っていてゾクゾクするようなレンズ。たった10分しかないこの瞬間が、たまらなく好きだ。
レンズ AF-S NIKKOR
70-200mm f/2.8G ED VR II
露出モード 絞り優先オート
絞り F2.8
露光時間 1.3s
ISO感度 ISO200
露出補正 -0.7
測光モード マルチパターン測光
焦点距離 70mm
AFモード マニュアルフォーカス
VR OFF
ピクチャーコントロール 風景
三脚 あり/レリーズケーブル/ミラーアップ

機種 D4 「AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8G ED VR II」

撮影時間 朝6時37分

容赦なく空が明るくなるので、「まごつく」なんてことは許されない。「アイロンモスク」にレンズを向け、一瞬しかないブルーモーメントと切り撮った。

空の青が金属やタイルに反射し、1日のうち一瞬だけしか見れない幻想的な瞬間を「AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8G ED VR II」で切り撮った。
レンズ AF-S NIKKOR
70-200mm f/2.8G ED VR II
露出モード 絞り優先オート
絞り F8
露光時間 10s
ISO感度 ISO200
露出補正 +1.3
測光モード マルチパターン測光
焦点距離 70mm
AFモード マニュアルフォーカス
VR OFF
ピクチャーコントロール 風景
三脚 あり/レリーズケーブル/ミラーアップ

機種 D4 「AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8G ED VR II」

撮影時間 朝6時39分

その2分後にもうワンカット。朝5時起きでこの場所に到着したというのに、その瞬間はすぐに終わってしまう

ブルーモーメントが完全に終了してしまう、その「終わり際」を切り撮った。これをもって完全に夜が明け、また新しい1日が始まるのだ。


絞りはF9。ここまで絞ると周辺までキッチリと解像する。「AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8G ED VR II」のこの解像力はこのようなシチュエーションで非常に大きな武器となる。
このレンズの圧倒的なパワーを、等倍にして隅々まで味わって頂ければ幸いだ。
レンズ AF-S NIKKOR
70-200mm f/2.8G ED VR II
露出モード 絞り優先オート
絞り F9
露光時間 10s
ISO感度 ISO200
露出補正 +0.3
測光モード マルチパターン測光
焦点距離 70mm
AFモード マニュアルフォーカス
VR OFF
ピクチャーコントロール 風景
三脚 あり/レリーズケーブル/ミラーアップ

機種 D4 「AF-S NIKKOR 70-200mm f/2.8G ED VR II」

撮影時間 朝6時49分

ブルーモーメントの終わりを見届け、本命カットの場所に戻ってみると公道レースをしていた集団は夜明けとともに姿を消していた

この撮影ポイントでのブルーモーメントは、「ヘイズ」、「Formula E」により撮影を阻まれてきたが、今回は「安全上の問題」で撮影を阻まれることとなった。

撮りたかったら、粘り強く通うしかない。

自宅に戻ったのは朝7時半。あまりの早業にボクが出かけて戻ってきた事に家族は気がつかなかったりする。
レンズ AF-S NIKKOR
70-200mm f/2.8G ED VR II
露出モード 絞り優先オート
絞り F8
露光時間 2.5s
ISO感度 ISO100
露出補正 0
測光モード マルチパターン測光
焦点距離 135mm
AFモード マニュアルフォーカス
VR OFF
ピクチャーコントロール 風景
三脚 あり/レリーズケーブル/ミラーアップ


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